俳優・塩野瑛久に会いに行くと額縁屋が儲かる話
私は比較的運が良い方だと思っている。
実際、命名で有名な先生に付けてもらったという私の本名の字画が持つ運レベルはかなり高く、両親と祖母3人の中で意見が割れ、出された候補の中から全く選ばれなかったものを「間をとって」付けたという割にはこれまでの人生でかなりの活躍を見せている。
10月某日、私のスマホにあるイベントのお知らせメールが届いた。
ある俳優のオフラインイベントだった。
開催日は10月28日土曜。
思慮浅く、愚かな人間である私は「28?知らんけど暇暇。とりあえず申し込むわ」と本当に軽い気持ちで必要事項を入力し、驚くほど軽い指先で申し込みを完了させてしまった。
ある俳優の名は塩野瑛久。
わかる人にはキョウリュウジャーのグリーンだとか、ハイローの小田島で伝わるかもしれない。
でも、正直まだこのタイトルを出せば多くの人がわかってくれるという作品はない。私は勝手にそう思っている。
知らないという人は名前を検索してみてほしい。
AIが描いたのではないかと疑うほどの顔整い男が画面いっぱいに出てくるはずだ。
そんな彼に直に会うことができ、さらには一緒に写真まで撮れるという謎イベントが開催されるという。
あまりにもあまりにすぎる内容だ。
こんなものに私は「暇っしょ!」の勢いだけで申し込んだ。
そして、当選した。
これが冒頭に書いた運だ。これまで幾度となく感謝してきたが、この日も相当感謝した。
結婚したら絶対に夫婦別姓にしたい。
あまり意識をせずに応募したのも良かったのかもしれない。
絶対に会いたい!当てたい!と思っていたら、きっと当選していなかったように思う。
どうせ私のことだから暇、という見切り発車で申し込み、別のイベントの当落が控えていたことであまり意識せずに過ごせたのも効いていただろう。
ELLEGARDEN活動休止前最後のツアーもそうだった。活動再開後のツアーもそうだった。情念を込めすぎないというのは時になにかを引き寄せる。
なんならこの日は全く暇ではなかった。ちょっとだけ人に迷惑をかけてしまったが、それにも関わらず、快く送り出してくれたことにとても感謝している。
彼のオフラインイベントは昨年末にも催されており、その時は落選をしてしまっていた。
そもそもの当選者が少ないということもあったかもしれないが、当日の様子を伝えてくれる個人の投稿はなかったはずだ。あったとしても、簡単に検索をして見つけられはしなかった。
私は思った。
私を当選させてくれれば、当日のことを詳細に記録して発信したのに、と。
時が来た。
ここまでを前日の夜に私は書いている。
これは2024年の大河ドラマ出演が決まった一人の俳優に会いに行った私が、人生で初めての買い物をするまでの、全く壮大ではない小さな記録である。
日中に塔の上のラプンツェル再上映を楽しんだ私は、久しぶりに降り立った渋谷の異様な雰囲気に圧倒された。
電車内こそ多少ゆとりがあったものの、ホームではハチ公改札は混雑しているため、外に出るまでにかなり時間がかかるというアナウンスが繰り返し流れていた。
地方民からしてみれば東京はいついかなる時でも人が多い。だがこんなアナウンスを聞くのは初めてのことだ。
ハチ公改札はきっと多くの地方民にとって最も馴染みのある改札だろう。少なくとも私はそうだった。
目的地へもハチ公改札から最もわかりやすい。
時間に余裕はあったが、万が一に備えて私は人の流れに乗り、中央改札から出ることにした。
再開発によって様変わりした渋谷はまるで見知らぬ土地と化しており、中央改札から直結した建物も全く知らない場所だった。今でもよくわかっていない。
Googleマップを片手に自分の位置を確認し、人のうねりに揉まれながらやっとの思いでハチ公の元へと辿り着く。
そこでようやくこの混雑の理由を知ることとなった。
渋谷は来たるハロウィンに向け完全に臨戦体制に入っていたのだ。
考えてみれば今年のハロウィンは平日。今日は31日に最も近い土曜だった。
ハチ公像は「ここはハロウィンパーティーの会場ではない」という旨が書かれた幕でかなり広範囲に囲われ、姿を見ることすらもできない。
通常であれば人が立ち入れるゾーンも柵で仕切られ、滞留だけでなく往来までもが困難になっていた。
そもそも駅も全面的に改修をしているのか、あらゆる通路が狭い上に見通しも悪い。
人の流れは当然滞り、満杯の屋内フェスでもなかなかお目にかかれない混雑が街のど真ん中で発生している。ジェットカウンターに流し込まれるパチンコ玉になった気分だった。
満員電車に乗ったままギチギチと移動をさせられているような感覚が、あろうことか電車を降りてからずっと続いている。シンプルに最悪だった。
これから推しに会えるという点を加味しても「もう二度とこの時期に渋谷へ来させるな」という感情が、人の圧と一緒に私を押し潰していた。
もはや視界に入れない方が難しい間隔で配置されたDJポリスをはじめとする多数の警察官に警察車両、その物々しい非日常感がハロウィンのスパイスとして一役買ってしまっているのではないかとさえ思えた。
真っ赤な回転灯も気の利いた照明に見えてくる。
DJポリスは英語で繰り返し、ここは集会所ではないよというようなことをアナウンスしていた。もう少し発音が上手な人材がいたのではないかと考えながら、私はポリスの乗る車両横目に横断歩道を渡りきった。
やっとの思いでスクランブル交差点まで押し出された後も人の数は一向に減らない。
小さく幅のない横断歩道での信号待ちでも、ちょっとした人だかりがすぐに発生してしまう。
数年前は頻繁に東京に訪れ、その人口の多さをよく知っていた私でも怖くなる程度にはとにかく人が多く、近年この渋谷ハロウィンが数々の創作物でテロの発生現場や標的にされているその意味が、嫌なリアリティを伴って実感できてしまった。
今回の会場はAmazon Music Studio Tokyoという全く聞き覚えのない場所だった。
しかし、きちんと調べてみればeggmanというよく知るライブハウスと実質同じ場所にあるようで、人の波に揉まれこそしたものの迷うことなく余裕を持って到着することができた。
目的地へ近づくにつれ少しずつ人通りも減ってはいたが、それでも仮装をした人と頻繁にすれ違うのだから、大都会はとんでもない。
eggmanのあの卵の看板が目に入ったのと同時に姿を現したAmazon Music Studio Tokyoは、なんとなくイメージしていた堅牢な雰囲気とは違い、ガラス張りで明るく都会的なオシャレさみたいなものを纏った建物だった。東京に、しかも渋谷にあるというだけでなんでもかんでもオシャレに見えてくる。
地元にもこんな感じの建物はあるが、やはり渋谷は違うなと思わされていた。
自動ドアを抜けると左手に受付があったが、今回のイベント参加者は右手に長机で仮設された受付でチケットを提示し、全く盛れていない免許証と、見るも無惨な仕上がりになっているFCのID写真で本人確認を済ませる。
この時に◯と×が両面にそれぞれ印刷されたボードを手渡された。イベント中のゲームで使用するということだが、これが後にとんでもないものを呼び込むことになる。
そんなことを全く知らない私は、席に着くなり受け付け後すぐに追加で受け取った登壇者への質問用紙に汚い字でせっせと質問を記入した。
こういった場でよく渡される簡易鉛筆(調べたところライトクリップペンシルという名前だった)はもう少しなんとかならないものだろうか。私はこいつと上手くやれた試しがない。
完全にこちらの事情だが、ネイルの予約のタイミングが合わず伸び切った自爪では上手く握ることもできない。加えて、これから美術品と見紛うばかりのド端正フェイスを持つ男に会うのだ。
まともに字など書けるわけもない。
字そのものが汚い上、文字列自体がツーシームのような軌道を描いていた。私の人間性が如実に反映されている。
絶対に選ばれないでくれと願いながらスタッフに手渡し、私はやっと腰を落ち着けた。
この日、イベントは昼と夜の2回行われていた。私は2回目に参加している。
1回当たりの当選者は35名。応募総数はわからないが、今月までの繰越を含め残った今年分の運を全額引き出したことだけは間違いないだろう。
スマホで10年以上育てているマリモの水を換え、友人たちにLINEを送り、私は懸命に平静を装いながらその時を待つ。
椅子のどの位置に尻を置いても落ち着かない。逆にドキドキしていなかったのがまた怖かった。
ちなみに、会場内は通常この建物のエントランスとして使用しているのかなという印象。
ぱっと見渡せる程度、でも閉塞感はないワンフロアで、先ほども書いた左手側の受付の奥に並んで近未来の改札のようなゲート、通路を挟んでバーカウンターがあった。
特にもよおしてはいなかったが、後学のためにトイレも使用してみた。
女性用、多目的、男女兼用があり、私が使用した男女兼用は中でさらに3室に分かれていたのでイベント収容人数に対しては十分な数なように思う。
イベントスペースとなっていたのは主に右手側で、奥に登壇者スペースがあり、そこに向かって背もたれはないが大きいソファが整列していた。
最後列のみ、高そうな洒落たオフィスチェアだった。
ご参考までに。
そして18時。開演時刻だ。
この日、MC担当として同じ劇団EXILEに所属する八木将康氏がまず姿を現した。
丁寧に一礼をして、椅子やマイクがセッティングされたスペースに向かう。
その八木氏に続いて、塩野瑛久は姿を現した。
恋愛ドラマのお約束演出かと思うほど、その動きが私にはスローモーションで見えていた。
塩野瑛久は光っていた。私が視界で捉えた瞬間から、それはもう大変にまばゆかった。
ご存じない方もいらっしゃるかもしれないが、イケメンはある一定のラインを超えると光る。
これまでの人生で何度か自発光するタイプのイケメンを拝んできたが、人にはそれぞれの光り方がある。皆一様に同じではないのだ。
塩野瑛久の輝きは貴金属や宝石のようなキラキラとしたタイプのものではなく、雲間から地上に向かって光が差し込んでいるあの天使の梯子に近かった。
神や仏の後光とも違う、柔らかく周囲をじんわりと染め上げるような光がいついかなる時も彼の内側から放たれ続けている。
一周回って「本物だ!」みたいな感想も出てこない。
燦爛と光を放つ姿に、マスクの下でぽかんと口を開け、最後列の私でもこれなのだ。最前列の人たちは大丈夫なのだろうかと本気で心配をしていた。
劇団のわちゃわちゃ部屋〜塩野瑛久の講塩会〜が、ついに幕を開ける。
MCを担当した八木氏の進行は実に滑らかで、盛り上げようと声を張ることもなく、穏やかに語りかけ、自分を過剰に三枚目に見せるようなこともせずとても心地が良かった。
全員が手探りであったこのイベントの雰囲気づくりに相当寄与していたと思う。
ファンと一緒になって「塩野くんかっこいいよね」と適度に寄り添ってくれていた距離感にも無駄がなかった。
簡単な挨拶をし、この会の趣旨をざっと説明すると早速ファン参加型のゲームを行うという。
事前に告知もされていたが、トークがメインだとばかり思っていた私は、このゲームの後はどうするんだろうかなどといらない心配をしていた。
まず行われたのは受付で全員に配布された○×ボードを使ってのクイズ大会だった。
みなさんはどれだけ塩野くんのことを知っているかな?全25問のクイズに答えて、優勝者には現在放送中の番組ポスターにサインを入れてプレゼント!というものだ。
オールスター感謝祭さながらに全員スタンドアップし、不正解者は順に着席をしていく。
序盤の問題はプロフィールやドラマを見ていればわかるものが多く、脱落者もさほど出なかった。
「野球経験者である」○
「出演中のドラマ天狗の台所での役名はアタゴユイである」○
「2nd写真集のタイトルはbloomである。」○
だが問題が進むにつれ、これはもう予想するしかないのでは?という問題がどんどんと多くなり、脱落者が増えてゆく。
回答をした本人もどちらで答えたかを忘れてしまい確認をするという場面もちらほらあった。
その瞬間の感覚だけで答えられるような設問がそれだけあったのだ。
35人が30人に
30人が25人に
10人、8人、5人
3人
なんと私は最後の2人まで残ってしまっていた。
このてのクイズは、いかに対象者のことが好きであるかということを問われている。塩野くんのことをとてもよく知っているのですね、と考える方が多いかもしれないが、私はそうは思っていない。
問われているのは対象者のヲタクとしてのキモさだ。
少なくとも、あくまでも、私はそう捉えている。
彼氏や友達、会社の同僚でもない。画面の向こう、ステージの上というなにかしらの壁を挟んだ人間のことを熟知していると披露するのだ。純粋なファン心などという綺麗な表現であっさり片付けられるわけもない。
途中の問題で「塩野瑛久の好きな色は白である。○か×か」というものがあった。
彼は以前配信の中で、部屋の家具の色について言及していたことがあり、そこから答えを導き出して正解をしたのだが、これも冷静になってみればかなりキモい。
配信をしっかり見ていて、さらにはその内容を記憶し、そこから発展をさせて回答をしている。
ファンであれば当然の行いも外野から見れば異常だ。
「子どもの頃に好きだったお弁当のおかずは玉子焼きである」×
「コンビニでつい買ってしまうものは栄養ドリンクである」×
「寝る直前にすることはストレッチである」×
この辺りの問題についても、私は半ば塩野瑛久本人を降ろす感覚で答えていた。
思い返してみても実に気持ちが悪い。
「塩野瑛久が八木将康と秋にお出かけをするのなら、紅葉狩りに行きたい」
私はこの問題で惜敗する。
正解は○だったが、悩んだ挙句×を出していた。
途中「八木将康は塩野瑛久の手作りクレープを食べたことがある」という問題で両者共に不正解になる場面もあったが、「僕なんかの問題で終わっちゃうの嫌ですよね!」と明るく八木氏が仕切り直し、結局20問目まで戦いは続いていた。
日中に行われた1回目では10問で決着がついてしまい、企画として成立していたのかという不安が関係者の間に広がったという。
長引けば長引くほど、不正解になってしまった他の参加者の皆さんに塩野瑛久の新しい情報を提供することができる。いっそ全問完走してやりたいくらいの気持ちでいたが、あと一歩及ばなかった。
優勝者の女性はその場で自分の名前も入れてもらい、サイン入りポスターを受け取っていた。
優勝こそ逃しはしたが、それなりの土産話はできたんじゃなかろうか。そう思い腰を下ろすとなんと次もファン参加型のゲームコーナーだと言う。休む間がない。
一方的に色々しゃべってくれて、こっちの質問に適度に答えてくれる程度の内容を想像していた私は、あまりの双方向ぶりに少々慄いていた。
次は絵しりとりだった。
文字通り、絵のみで相手にそれがなにであるかを伝え、最後の人までしりとりを成立させるというものだ。
合計4名で行うため、ファンの中から2名に参加をしてもらいたいと言う。
「じゃあ、これは挙手制で」
八木氏の言葉が鼓膜に届くなり、私はすぐさま迷いなく真っ直ぐに手を挙げた。
小学生の頃だってこんなに真っ直ぐに手を挙げたことはない。
しかしこんなところまで来ているのだ。恥ずかしいとか図々しいとか言っている場合ではない。
推しとの絵しりとり、私はその瞬間を可能であるならば人生の走馬灯メモリに追加したかった。
今後の人生、多少なにかあっても「まぁ、私は推しと絵しりとりをしたことがあるしな。許してやろう」と気持ちを強く持てる場面もあるかもしれない。
すると、八木氏が「じゃあ、さっき2位まで残ってくれた方なので」と早々にGOサインを出してくれ、もう1名は他に手を挙げた方々数人ででジャンケンをし、勝った方が参加となった。
塩野→参加者→八木→私
しりとりはこの順番で行われる。計らずもオチとなってしまい尋常ではないプレッシャーを感じていた。
思わず「私が最後ですか…」と漏らしてしまったが、八木氏が明るくアシストをして笑いに変えてくれた。私はもうかなり八木将康のことを好きになっている。
しりとりは、しおのあきひさの「さ」から始まった。
特に時間制限も設けられていなかったため、描き上がりを待つ時間は八木氏が私たちがどこから来たのかを尋ねるなどして場を繋いでくれた。
そして、完成した作品が披露される。
通常であれば次の順番の人間以外は見ない方がベストなはずだが、そんな雰囲気でもなかったので私も推しの絵を見た。そりゃ見たい。推しが描いているのだから。
彼が描いたのは「サイリウム」だった。
次の番手である女性もすぐに理解した様子だったが、八木氏だけは全くピンと来ていなかった。
女性は「虫」を描いた。簡略化しているがそれでも尚確実に虫と伝わる上手なイラストだ。
そして八木氏は「シマウマ」を描いた。
これがまたなんとも絶妙な仕上がりで、絵しりとりの醍醐味がしっかり詰まった素晴らしい作品に会場も笑いに包まれている。
だが私はそれどころではない。
「ま」
この言葉から始まり、かつ描けるものを瞬時に選ばなければならないのだ。
よりにもよって真っ先に思いついたのは「マンドリル」だった。多少絵は描ける方ではあるが、私にそこまでの画力はない。
イラストレーターの友人たちの能力を今すぐに借りたいと心の中で泣きながら、必死になって「ま」で始まる他の言葉を探した。
この間もなにかトークが繰り広げられていた様子だったが、完全に耳に入っていなかったので、ご存じの方がいれば是非教えていただきたい。
マンゴーは簡単だが逆に難しい。漫才は人物×2でコストが高い。
「あ、できましたか?」
私がペンのキャップをしめて佇んでいると、八木氏がそれに気付き声を掛けてくれた。たぶんそうだったはずだ。
幸い、私の描いた絵はすぐに伝わった。お客さんも皆さんとても優しい人たちで、おぉとリアクションをしてくれた。
シルクハットから鳩が飛び出す絵を描いた。「マ」ジックの絵だ。
八木氏も推しも、上手だと言ってくれた。お世辞だろうがお約束だろうがなんだって構わない。私はこの先の人生を「なんであれ推しに褒められた人間」として生きられるのだ。
死んであの世で裁かれる時が来たら、できるだけ腹の立つ顔で「私はね、常軌を逸したレベルで眉目秀麗な推しに褒められたことがあるんですよ。そんな経験あります?」と判事に言ってやろう。
絵しりとりは滞りなく終了した。
すると、八木氏が言ったのだ。
「参加をしてくれた記念に、僕たちが描いた絵のボードにサインを入れてプレゼントします」
色々置いておいて、こうなると問題はどちらがどちらのボードをもらうかということだ。
今日は塩野瑛久のファンの集まりである。
当然、絵しりとりに参加した私たちだけでなく全参加者が求めているのは塩野画伯によるサイリウムの絵が描かれたボードだ。
八木氏が、さきほどは惜しかったので…と私にそのボードを与えようとしてくれたのだが、それを制したのは他ならぬ塩野画伯本人だった。
「ここは平等にジャンケンで」
とても彼らしいなと思った。
八木氏の配慮もとても優しく思いやりのある心遣いだった。ありがとうございます。好きです。
だが、私の2位の功績は優先的にこの絵しりとりに参加できた時点でその力を使い果たしている。
結果がどうなろうと私だけが優遇されたという印象も残らない、極めて平和的な決着方法だ。
私たちはそれぞれの右拳を突き出した。
きっとお互い、これまであらゆるジャンケンを戦い抜いてきた。
給食のデザート、劇の配役、席替え、班分け、なにかしらの当番、誰がコンビニに行くか、結婚式の二次会でのゲーム、できれば他人に任せてしまいたい面倒事、数多の負けられない戦いがあったはずだ。
だがきっと、今、この瞬間こそがそれぞれの人生の中で最も負けられない戦いだったのではないだろうか。
最初はグー
ジャンケン
ポン
握りしめたままの私の拳は、そのまま勝利を掴んでいた。
この世に確実に、たった一つしか存在しないアイテムが、私の手元に来ることになった。
喜びよりも、マジか、という感情が強かったと記憶している。
私のちんけな脳では処理しきれない現実が、あの渋谷駅の人混みのようにぎゅうぎゅうと容赦無く私を飲み込んでいく。
サインを待っている間、話題が八木氏の描いたシマウマへの向いた。
味のあるいい絵だということが伝えたかった私は「マスコットにしたら可愛いと思います」ともはやどこ目線かわからない発言を八木氏に向かってしていた。彼はもちろんそれを拾ってくれる。
子どもの描いた絵をそのままぬいぐるみにしてくれるサービスがある、というどうでもいい情報を披露すると、塩野は「ありますよね、そういうサービス」とこともあろうに話題を広げてくれたのだ。
喜びよりも、こんな私に敬語を使うな!勿体無いだろ!という感情が大きかった。
いつ役立つのかわからない情報を持っていてよかった。これからもインターネットとテレビに張り付いて生きよう。
席に戻ると、スタッフさんが紙袋を手渡してくれた。
「おめでとうございます」の一言にホスピタリティを感じた。
その後は、会の冒頭で私が華麗なツーシームを軌道を描いたあの質問用紙に答える時間が始まった。
抽選方式で質問を選び、丁寧に回答をしていく。
こんなことが起きてしまったのであまり記憶がないが、ブランドにこだわりはなく、古着も好きだと話していたことと、スキンケアを化粧水一本にしたという話、新しい役に入る時最初にやることは役にもよるので特定のなにかはないと語っていたことはかろうじて覚えている。
序盤にも記したようの、このイベントに当選した時から私はブログを書くと決めていた。
現場のレポというものはジャンルを問わず後に役立ったり、後にファンになった人、現地に行けなかた人にとってとても意味があるものだからだ。
参加人数が少なかったものならなおのこと価値がある。
昨年末に行われたクレープのイベントではそれらしいものが見つからず、公式からのレポに留まっていた。
公式からと現地に行ったファンである人間からとでは、放たれるエネルギーの物量が違う。
私がそうなれている自信は全くないが、特定の何かを愛している人間が書くレポには禍々しさすら覚えるほどのエネルギーが詰まっているのだ。
少数しか当選しなかったこの貴重な現場で起きたことを、参加者として伝える責任と義務がある。少々大袈裟だがそれくらいに思っていた。
結果として思いがけない展開が相次ぎ、イベントのレポというよりも私個人の思い出になってしまったが、なんかもう許してほしい。ごめん。
質問の回答とか一番大事なのに。本当にごめんね。
質問コーナー終了後は全員での記念撮影をした。それこそ公式のレポに載るのだろう。
参加者の皆さんはほぼほぼモノトーンの服を着ていた。私だけが招待されていないグループLINEがあったのではないかと疑いたくなるほどだ。
イベント前夜に手持ちの服と睨み合いながら「仮装大会みたいな服ばっかり」と回遊魚のように部屋中をうろうろ歩き回り、比較的地味めだとジャッジした一着を選び取った私に言いたい。
なにを着て言っても、たぶんあまり変わらなかったよ。
最後は登壇者2名との3ショット撮影があった。これは事前に告知されていたが、それでも心の準備など到底間に合うわけもない。
楽しかったです、という当たり障りも面白味も個性もなにもない、ただただ退屈な定型文しか発することが出来なかった。
弁が立つ某ラッパーに「どのラッパーよりも口が悪い」と評価された私が聞いて呆れる情けない仕上がりに脱力しつつ、早々に会場を出て渋谷駅に向かった。
会場から距離が離れていくにつれ、時間が少しずつ経過するにつれ、プールの底から浮かび上がるように現実が帰ってきた。
ハロウィンに一番近い土曜日で大いに盛り上がる渋谷は喧騒と狂騒にまみれ、警察官たちの抑揚のないアナウンスがあちこちで響いている。
私は今東京に、渋谷にいるのだ。これから新幹線に乗り、300km離れた我が家に帰るのだ。
紙袋の持ち手を握り締め、道玄坂方面から渋谷駅に入って巨大広告の写真を撮った。
たった今会ってきたばかりの俳優が出演するドラマの広告だ。
まるで実感がなかった。
イレギュラーな状態になった渋谷駅からなんとか山手線に乗り、その車中で予約した新幹線に乗り換える。淡々と、ただ帰るという行為だけをしていた。
折角このタイミングで渋谷にいたのだから、King GnuのSPECIALZや踊ってばかりの国のghostを聴きながら人混みに揉まれるなどすればよかったなぁ、と思いながら座席でフルーツサンドを食べた。
調子に乗ってシャインマスカットを選んで買った。
ふと視界に入ってしまった隣の席のサラリーマンは、スマホでフルカラーかつ強めのエロ漫画を読んでいた。
もう新しい面白はいらない。こんなものエッセイ漫画にでも描こうものなら即嘘松認定されるだろう。あと、単純に気分がよろしくない。
私は気持ちを落ち着かせるため、早速あのカードを切ることにした。
「まぁ、私は推しと絵しりとりをしたことがあるしな。許してやろう」
彼は性別年齢を問わず、よく共演者から「イケメン」ではなく「美しい」と表現されている。
生で拝んだ塩野瑛久は、本当に美しかった。
美しいという言葉がこの世に存在していることに感謝しかないが、欲を言えばそれでもまだ追い付かない。
貴重な体験と特大のお土産は、私の人生の財産の一つとして大切に保管し、定期的に披露していくことにしよう。
新幹線が三河安城駅を通過した。名古屋は近い。
私は、推しの絵をどう飾るかをずっと考えていた。
おわり
平成・令和の仮面ライダー22作品を全部完走した話
タイトルまんま。
平成から令和の仮面ライダー22作品を全部観た。
2000年から2020年までの歴史を約1ヶ月半で駆け抜けた。どうかしてる。
なぜそんなことになったのかという理由は色々なことが重なった結果、としか言いようがない。
しかし、おかげ様ですっかりライダーのファンです。
ライダー谷間の世代なので、幼少期の思い出はRXのショーを近所のスーパーまで見に行った記憶がなんとなくある程度。
おそらく同時上映の戦隊目的で真、ZO、Jは映画館に行ってる。パンフレットがあるので間違いない。でも記憶はほぼない。
戦隊モノにはかなりお世話になってて、武器系のおもちゃも何個か持ってた。サンタにもねだった。
ライダーお休み期間中に放送されていた特撮にもそこそこお世話になった記憶がある。ブルースワットとかジャンパーソンとか。
大人になってからは母親きっかけでアギトだけリアタイ。
そんな感じの特撮レベルであった私が、完全な自己満足で今から22作品すべての感想を書くぞ!
このブログをきっかけにライダーファンが増えたらとか、布教しようとかは全然ない。
ブログを読んだ感想の正解は「そっかぁ、よかったねぇ」です。
読んでくれるだけでいいんだよ・・・。
興味を持ってくれたらもちろん嬉しいけど・・・。
「ダースベイダーはルークのお父さん」レベルのネタバレはさすがに避けるけど、今後視聴する予定があって、とにかく事前情報を入れたくないタイプの人は注意してね。
有識者の人は「わかってない!」って思うところもあるかもしれないけど、いい感じに優しく見守ってね。
じゃあ、始めるね。
【平成18作目】 仮面ライダーエグゼイド
〜全ライダー大投票音楽部門「EXCITE」1位おめでとうございます〜
前述のとおり色々なことが重なった上で、日曜のお楽しみである関ジャムを見ていたところ、主題歌であるEXCITEが番組内で取り上げられた。
「あー、この曲かっこいいよねぇ、終盤のシーンでこの曲流れてきたら最高だろうなぁ」
思い立ったが吉日。そう、私はすぐやる課のヲタク!Huluにアクセス!!
最高だろうな、と思ったら自ら最高になりにいくしかない!!
こうして私の仮面ライダーマラソンは幕を開けた。もちろん、この時はまだマラソンの予定はなかった。
22作品を全完走してみれば、最初にエグゼイドを見たのはなかなかに良いチョイスだったのかもしれない。
人様への1作目には私は推さないけど、ノーアドバイスの流れで選んだにしてはバランスの取れた作品だったと思う。
なによりかなりのパワープレイながらもハッピーエンドなのがよかった!
ハッピーエンドは初心者に優しい!!
今や定番の複数ライダーも、多すぎず初心者でも個々のことをちゃんと把握できる程度の数。これが龍騎とかセイバーだったら確実に混乱してた。
パラドのくだりもよかったんだよなぁ。今後もこのポジションのキャラクターはちょこちょこ出てくるし。
ライダーあるある要素がどれか突出するでもなく、満遍なしに含まれてたんじゃなかろうか。
変身時の「アイムア仮面ライダー」が非常にお気に入りの私。でも後半全然言ってくれなくて寂しかった。
本当に寂しかった。
発表時に世間を騒がせたレベル1の姿もちゃんと重要な役割を担ってるだよ。
マジで激熱展開だった。初期変身フォームって終盤ほとんど出てこなくなっちゃうんだけど、立ち返ってくれる作品は加点対象。
シュッとした見た目になるレベル2も仮面ライダーっぽくない見た目だけど、エグゼイドは全体的にカラフルで可愛いので好き。
グッズやミニキャラにした時に映えるんだよね。
最初に手を出した作品っていうこともあって、ちょっと別格になってるかも。
次のライダーはこれだよ!の演出はエグゼイドが1番興奮した!
ビルドの存在もデザインも知ってるのに「次はこんなライダーなんだ!」って本気でワクワクしちゃった。
作品中のアイテムの使い方として100点!
【平成11作目】 仮面ライダーW
〜初心者に優しい。菅田将暉もいる〜
新しいコンテンツに手を出そうもんなら、有識者たちがめちゃくちゃプレゼンしてくれるのが私のTL。
囲い込みがとにかくすごかった。
そんなわけで内容もいいとのことだし、菅田将暉がいるし、菅田将暉がいるので2本目はWにしました。菅田将暉がいるので。
初めてのライダーにはもってこいの作品では?と思いなら視聴。
ライダーは2話1セット構成のパターンが多く、Wは各話のタイトルでそれがよりよくわかるようになってる。
主人公たちが探偵事務所をやっているという設定も、1つ1つの依頼や事件を片付けていくことに流れができて、内容を整理しながらきちんとストーリーについていきやすい。
事件が解決すると主人公の左くんが報告書を書いてくれるので、一件落着なのもよくわかる。
各話で単発のゲストキャラがいることが常の作品だから、毎度人物相関図を出してくれるのも非常にありがたかった。
あと、初心者の感覚として意外だったのが最初から仮面ライダーであるという設定だったこと!
基本は全部「お、俺が・・・仮面ライダー!?」みたいなパターンだとばっかり・・・。
とにもかくにも観やすいし、いまだに人気あるのも納得という作品だった。
立木文彦さんの声で流れるガイアメモリの音声もクセになる!
マキシマムドライブの連打は最後まで笑っちゃったけど。
これから誰かに自分もライダー始めたいです、って言われたらオススメする作品の1つですね。
OP曲が90年代アニメにありそうな感じなのも、個人的にはポイント高かった!
【平成15作目】仮面ライダー鎧武
〜笑っていられるのは今のうちだけ〜
脚本は虚淵玄、ライダー作品にしては珍しく最初から最後まで内容が固まっているため前半から伏線が散りばめられている、と有識者から熱い情報を得たため視聴。
今作では武将とフルーツがモチーフになっていて、放送開始当時にその情報だけは知ってて「いよいよネタ切れか?」なんて思ってた。素人がごめんなさい。
なので、ちょっと突飛すぎるなぁなんてイメージだけを漠然と抱えている状態だった。
輪をかけて突飛だったな。
誰も追いつけないスピードだったよ、鎧武。
特撮に限らず、変身するタイプのヒーローって自分が変身できることを隠しているイメージがまだあったんだけど、鎧武は隠さないどころの話では済まない。
自宅で変身して同居する姉に普通に見せるし、変身したまま自室のベッドでくつろぎ、変身を利用してバイトをうまいこと回そうとかし始める。
その後観るライダーでもさすがにここまでの猛者はいなかったよ。
鎧武はそれだけに留まらず、全体的に情報量が多い。
謎ダンス対決システムに、その後敵となるインベスを利用しての謎ゲーム、初心者には追いつけない展開の連続。
フルーツ超えてドングリと松ぼっくり出てくるし、バイクはチューリップだし、ベルトにドリンクバー付くし、奇抜なデザインの変身が心から楽しみになってた。
脚本:虚淵玄の現実を忘れて・・・。
帰りたい、あの謎ダンス対決になにそれと言っていた頃に帰りたい。
終盤は心が死ぬ展開の連続で、ずっとあの平穏な日々に思いを馳せてた。
私を支えてくれたのは、カチドキアームズという鎧武の新しい変身フォームだけ。
武将がモチーフなんだから、背中に旗くらい刺さる。ホラ貝だってスクラッチする。
やりすぎな変身フォームは心を元気にしてくれる、みたいなのは完全にここで脳が覚えてしまった。
でも本当にそう。
説明するのが難しい作品だけど、入口と出口がまるで違ったものになる展開は非常に好みだった!
見た目でこれだけ無茶苦茶やっといてこのストーリーっていうのは、もはや詐欺だよ。
特に気にすべきではない感じの設定がちゃんと厭な効き方をしてくれるのも、虚淵作品を味わっているぞ!という実感があるので、まどマギ、サイコパス方面の方々はこちらからどうぞ。
【平成17作目】仮面ライダーゴースト
〜声に出して読みたい日本語「俺の生き様!桶狭間!」〜
次はどのライダーにしようか迷っていたところ、脚本がヤバいともっぱらの噂なのでよかったら確認してほしいという話が来たため、確認しました。
磯村勇人もいるもんな!
結論から言うと、ヤバいと言われてしまうのもやむなし・・・というのが個人の感想。
でも磯村勇人演じるアランを中心にした話はめちゃくちゃよかった!
磯村パワーでそう見えてるだけか!?と思って、人様の感想も読みに行ったけど、同じようなこと言ってる人は少なくなかった。
初回で主人公が絶命というゴーストの名に偽りなしの展開。
ただその後に発生する99日ルールがあっと言う間にお釈迦設定になり、そのせいで恐らくテーマの1つにしていたであろう「命の大切さ」がブレブレになってしまった印象。
主人公がフェニックス状態なのよ。
過去の偉人たち(フィクション含む)の力を借りての変身は面白かったし、変身時のボイス担当であるm.c.A・Tがそれぞれの偉人に合った韻を踏んでくれるのも毎回楽しみだった!
私はやっぱり信長の「俺の生き様!桶狭間!」がお気に入り。
三蔵法師の「サル!ブタ!カッパ!天竺を突破!」も元も子もないお供の呼び方で好き。
あとは敵キャラクターとして登場したキュビが無事だったのでそこは評価してる。ありがとう。
エグゼイドのバガモンといい、こういうポジションのキャラはとにかく死にやすい傾向にあるから・・・。
みんな長生きしてよ・・・。
あと、これはほんの一瞬のシーンなんだけど、戦闘実績のない生身の女の子がステゴロで敵をぶちのめすシーンは必見。
戦地についてくるって言い出した時はどうせ人質になって終わりだろ、って思っちゃってた。
君もライダーになったほうがいい。
【平成8作目】仮面ライダー電王
〜イマジンのみんなとの日常回を300話くらい寄越せ〜
ライダーの知識がさほどない私でも、平成の中で人気があることをなんとなく知っていた電王。
主人公は佐藤健。
今回の敵はイマジンと呼ばれる存在で、そんな敵であるはずのイマジンがひょんなことから佐藤健に力を貸すことになり一緒に戦ってくれる。電王最大の特徴。
味方イマジンは4人いて全員性格が違うので、佐藤健に憑依した際に様々な佐藤健が味わえる結果になる上、関俊彦、遊佐浩二、てらそまさき、鈴村健一というラインナップ。
別キャラの味方イマジンとして追加で大塚芳忠も来る。なおやばい。
私が人ならざるものに心を寄せやすいという部分を差っ引いても、これはキャラクターへの愛着が湧きまくるし、主人公とイマジンたちとの友情に涙してしまうし、最終回でのみんなとの別れがツラくなる名作だった。
こんなに終わってほしくないことある?ってくらい終わってほしくなかったもんな。
完走後、イマジンたちが歌唱する楽曲聴き倒したよ。
電王以前と以後でライダーのスタイルや方向性は大きく変わってくるわけで、ネットに転がっている記事や情報をちょっと読むだけでもその影響力のすごさにビビる。
私の大好きな平成のてんこ盛り具合も恐らくここからアクセル踏み始めてる気がするので感謝しかない。
令和も早く正気を失ってほしい。
ストーリーもストレスが少ないし、俳優の知名度とイマジンパワーでWに同じく初心者に向いている作品だと思う。
でも個人的には2本目以降に観てもらいたいかな。イマジンシステムはちょっと特殊だし。
なんでもいいんだけどね!
デネブの飴ちゃん私もほしい。調べたら当時本当に売ってた。
すぐ金儲けに走ってくれるじゃん。ありがとう。
【平成9作目】仮面ライダーキバ
〜複雑化する人間関係。もう変身どころではない〜
2つある最推し作品の1つだよ!!!
最推しなんて何個あってもいいんだよ!!!黙ってな!!!!
世間的な評価や人気はあんまりみたいなんだけど、全作品中最も私向けの味付けがされた作品だったんだよ!
面白いのは1986年と2008年の話が同時進行で、行ったり来たりしながらそれぞれの結末に向かっていくところ。
二軸で進行していくだけで、タイムリープしてるわけではない。
だから、2008年のストーリーでは「なにそれ」と思ったことの答えが1986年のストーリーで明かされたりする。おもろ。
最初はちょっと混乱するけど、登場人物の顔を覚えたらそれで判断付くから全然困らなかったな。
キバは「昼ドラ」とも評されている作品なんだけど、誇張表現とかではなくマジで昼ドラ。
後半は人間関係がどんどん複雑になる。京極堂シリーズかと思った。
これは視聴中の私のツイート。
なにかそれに当たるのか説明はできないが「それどころではない」展開が延々と続く仮面ライダーキバ
— 久川 ヒサヲ (@Hisawadee) 2021年10月7日
興奮しすぎちゃって軽微な誤字のままツイートしちゃってるもんな。
変身は大事だし、戦うべき相手と熱い展開もちゃんとある。
でも、ずっとそれどころじゃない。
そしてなんと言っても、電王人気に後押しされて爆誕したしゃべるベルトことキバット。
キバットは杉田智和の声帯を持っているし、のちに石田彰の声帯を持った奴も出てくる。
しゃべるベルトて、と最初は思ってたけど、主人公が思うように動けない状態でもキバットが飛んできて噛んでくれたら変身できるし、キバット自身でも多少敵に攻撃はできるし、腹部に斬撃をくらった際には口で受け止めてた。
超有能システム。
しかもキバットは風呂にも入るしなんなら体調も崩す。カゴのベッドで氷嚢当ててるのも可愛い。
後にも先にもこんな展開とギミックのライダーはないし、全ライダー大投票で発表された25位以内には入ってなかったけど私は大好き!!
ちなみに主人公の瀬戸康史は、全出演者の中で最も顔が可愛いです。
【平成10作目】仮面ライダーディケイド
〜そのタイプのトイカメラ、私も持ってたよ〜
ディケイドに関しては私が全面的に悪いんですわ。
なにが悪いってのは、私のコンディションの問題でディケイドを今一つ楽しめなかったっていう。
作品は悪くない。
この頃はまだ「電王より前の作品はとりあえずいいか」と思って視聴していなかったし、ライダー愛も育ちきってなかった。
ディケイドはここまでのライダー全部に変身ができる。夢の塊。
その夢の塊感は十分にわかるんだけど、こっちからなにか言わせてもらうとすればストーリーらしいストーリーがなかったのはしんどかった・・・。
これについては公式にも「追うべきストーリーはない」と明言されてたから、私の物語を読み解く力が急に死んだとかではないはず。
あとは主人公が私向けじゃなかったのも厳しかったかな・・・。
ただ、プロライダーファンの間ではかなり人気が高いのがディケイド!
私もいつかその輪に入れる日が来るといいなと思ってるから、そのうち再度視聴してみたいと思ってるよ!
【平成12作目】仮面ライダーオーズ
〜最終回のタイトルテロップが天才。キレた〜
22作品を観た中で最も総合力が高いと感じたのはオーズ。
もちろん個人の見解だけど、今でも熱いファンが多数いるというのは、それだけ広く人を惹きつける要素があったからだよね。
放送当時も話題になっていたのをなんとなく感じていた、タ!ト!バ!の変身、イマジンのように和気藹々とはいかないアンクというバディ的存在、主人公の温度感も熱血すぎなくてちょうどいい。
オーズはOP曲もめちゃくちゃ好きなんだけど、ストーリーの塩梅もちょうどよかったし、楽曲に負けない前向きさと切なさが同居した完成度の高い最終回も大満足!
全体の雰囲気もシリアス展開がありながら明るく、最終回のタイトルテロップが平成史上最高だと個人的には思っているので、ライダーどれかやってみたいと言われたらこれもおすすめする作品の1つ。
ちなみに主人公は科捜研のろたくんだよ。
私はなんだかんだできっちり仕事する里中のことがだいぶ好き。
【平成13作目】仮面ライダーフォーゼ
〜40周年記念作品なので宇宙にも行くし吉沢亮も出る〜
福士蒼汰主演作品であることと、このどえらい見た目でなんとなくご存知の方も多いかもしれないフォーゼ。
前作のオーズがめちゃくちゃよかっただけに、これはハードル高いぞ・・・!と思って視聴を始めたけど、全くオーズと比較させない仕上がりですごく楽しめた!
基本事件は主人公が通う天ノ川学園内のみで起こり、主人公たちは仮面ライダー部を作って部員のみんなで力を合わせて事件を捜査したり、敵を倒したりする。
前回はバディの印象が強かったけど、今回はチーム感が全面に出てる。
バイクごとロケットで打ち上げられて宇宙へ行くのも鎧武ばりの突飛さだけど、まぁ40周年記念だし一発宇宙決めとくか!って発想にもなるよな。めでたいし。
花火と一緒。
事件がコンパクトだったり、シリアスパートが長く続くこともなかったから物足りない人もいたかもしれないけど、震災後の作品ということを考えると納得だし、今までのライダーになかった爽やかで明るい青春学園ストーリーを見せてくれてありがとうという気持ち!!
吉沢亮もいるもんな!!!!!!!
ちなみに吉沢亮はこれに変身する。
スーツにスワロフスキーみたいなの付いてるけど、吉沢亮なのでそりゃ輝きもする。
変身してからの現場への駆け付けかたがエグいけど、吉沢亮なので不思議じゃない。
菅田将暉や佐藤健でさえ「この頃はまだ垢抜けてなくて可愛い印象だなぁ」なんてニコニコしちゃうのに、吉沢亮さんは完パケ。マジでビビるからみんなそれだけでも確認してほしい。
放送当時を知る有識者からは、当時はまだ当然吉沢ブランドはなかったけど「顔がいいので」で色々片付けられてはいたとのこと。
「吉沢亮だもんな」「なんでだよ!吉沢亮だぞ!!」ってしながら観られるのもフォーゼの魅力かもしれない。
サンキューフォーゼ。
【平成14作目】仮面ライダーウィザード
〜クイズこのエレメントの変身サウンドはなんでしょう〜
当時世間がざわついていたシャバドゥビタッチ変身をついに拝んだぞ!!
ライダーの見た目からクールな作品だと思っていたら、全然そんなことなかった。
そんなことなくもないけど。
やっぱ変身ベルトが全てをかっさらっていくんだよな。
火、水、風、土の力が宿ったリングとシャバドゥビタッチ変身という一度聞いたら忘れられないサウンドはもちろんのこと、魔法陣をくぐるスタイルの変身はちょーかっこいい!
でも魔法陣をくぐる時に聞こえるんだよ「ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!」って。
変身を数回見たところでふと気がつく。
そんなまさかと思った。
そんなことさすがにないって思ったけど、念のため有識者に確認をした。
「これは、フレイム(火)の力で変身してるからヒーヒーって言ってるの?」って。
本当にそうだった。
風はフーフー言う。水はスイースイー、土はドッドドッド言う。
フレイムドラゴンという火のパワーアップ変身フォームになった時はボーボー言ってた。火力上がってる。ウィザードは私を笑顔にしてくれるね。
もちろんここからは他変身フォームの音当てクイズが始まりました。たぶんリアタイしてた人たちもやってた。
指輪職人の小倉久寛を馬車馬のように働かせて、もっともっと新しい指輪量産させたかったよ。
ストーリーとしてはちょっと溜めが長い感じもあったけど、あることがわかってからそこまでの謎が一気に明らかになっていく瞬間は爽快だった!
ロングコート風のライダースーツを活かした回転多めの戦闘は画面映えするし華があってかっこいい!
無駄な布なんてあったらあっただけいいもんね!
あと、すごめの魔法を使う時にベルトが「チョーイイネ!○○○サイコー!」って言ってくれる。
自分に自信をなくした時に心の中で再生していきたい。
【平成16作目】仮面ライダードライブ
〜車に乗ってるのが気になるのは最初だけ〜
バイクにあまり乗らないどころかいよいよ車かよ、と世間を賑わせ、当時たまたま観た回では車で敵を跳ね飛ばしていた姿が交通事故にしか見えなかったドライブが来ました。
主人公は正義感と熱さを持ちながらもほどよく軽いキャラクターで顔は竹内涼真。
さらには内田理央がサポートもしてくれる。あまりにも可愛い、好き。
ドライブのベルトもしゃべってくれると聞いてはいましたが、思ってる5倍はしゃべってきたよ。
でもこのしゃべりまくる理由もちゃんとわかるし、ベルトにちゃんと表情が出るのも愛着がもてて非常によかった。
なぜ車に乗っているのが気になるのは最初だけなのかと言えば、それを遥かに上回るサウンドや武器、ベルトさんも困惑するレベルである主人公の死んだネーミングセンスなど、あげればキリがない飛び道具が次々に投入されるから。
ネーミングセンスは本当にどえらいんだけど、私もこれでよくない?って似たようなことする自信はある。
わかりやすさを重んじる泊くんの姿勢、好きだよ。
思えばベルトさんをベルトさんで済ませてた時点でその片鱗はしっかり見えてたんだよな。
詳細は書き出したらキリがないから割愛するけど、初回からトップスピードでぶちかましてくれる作品なので、そういうのが好きな方には大変おすすめできます。
最終的には、押しボタン式歩行者信号が武器になる。人の想像力は無限大。
敵であるチェイスとサブライダーであるマッハの話もかなりよくて、リアタイしてちゃんと作品と関係性を築いた上でこの展開を見せられたら涙止まらなかっただろうなと思った。
駆け抜けただけの人間には味わえないものがライダーにはあるんだよ。
シフトカーたちも大変可愛かった!性格があるってわかってからは特に愛おしさ増した。
PS.ハマケンもいます。
【平成19作目】仮面ライダービルド
〜Be The Oneは語り継がれるべき神曲〜
平成ライダーの中で1番面白かったわ。
あまりの面白さに当時の私もこの状態
ビルド頭イカれとんのかってくらい面白い
— 久川 ヒサヲ (@Hisawadee) 2021年10月19日
11月6日に放送される全ライダー大投票までに平成令和の完走ができたらなぁ、というのをなんとなく思ってた私。
この頃には本気を出したらいけるという見通しが立ち始めて、盛り抜きで1日最低でも12時間はライダーを視聴してた。どうかしてる。
お昼を食べる1時間はライダーもお休みしてヒルナンデスを見てたんだけど、ビルドは止まらなくてぶっ続け。
おもろすぎるのよビルド。
ここ最近ライダーから離れてしまっていた人にも帰ってきてほしい、というコンセプトで動き出したらしく、ストーリーにもかなり力を入れていた模様。
それにしても面白すぎ。終盤手前でちょっとダレるって意見もあったけど、私は全く感じなかった。
そこまでがあまりにジェットコースター展開だったから、失速と捉える人がいるのもまぁわかるっちゃわかる。
ライダー愛がしっかり育って、自分を楽しませてくれるライダーたちのことが大好きという自覚が芽生えてからの「戦争」とその「兵器」として使われるライダーの設定は相当しんどかった。
でも、だからこそこのタイミングで観てよかった。真正面からしんどくなれたので。
実はビルドはリアルタイムでやろうとして、録画をミスったかなんかで結局やめちゃったっていう過去があって、でも曲だけは好きでずっと聴いてた。
これが1作目だったらついていけなかったと思うし、今思えばそれも正解だね。
主題歌であるBe The Oneは神がかり的な名曲。
16話で流れてきた時泣いちゃったし、傷ついたヒーローが立ち上がる姿が見えるイントロはたまんないんだよなぁ!
クローズマグマが変身も含め超絶かっこいいから!!いらんもんは付いてたら付いてるだけいいんだよ!
グリスブリザードの「できてるよ」も死ぬ。世界一かっこいい変身なので、みんなもベストマッチしていこうな。
【平成1作目】仮面ライダークウガ
〜登場人物全員の精神が安定している奇跡の作品〜
なんでここでクウガ?と思う人もいるでしょう。
当初は電王〜だけでいいかなと思ってたよ、私も。
だけど、ビルドの次作であるジオウは平成ライダーが全部出るということで、ディケイドでの反省を活かしてやらせていただきました!
やっぱり、やるからには全力で楽しみたい!
クウガがなければ平成ライダーはなかったわけで、内容なんてなんだっていいんだよの精神で再生をしたけど、平成後期にはない空気感は味変にもなったし新鮮な気持ちで楽しめた。
圧倒的に訴えたいこととして、オダギリジョー演じる主人公の五代くんを始め、全登場人物の精神が安定していて人間ができているというのがあるんですよ。
前期ライダーはこの後、人の話を聞かない連中のデパートみたいになるから。
五代くんは突然クウガとしての能力を手に入れてしまったんだけど、冷静に考えると狂気とも思えるレベルの前向きさでもって、新しい技の開発もがんばったりする。
変身と変身後のフォームチェンジの掛け声を変えたほうがいいんじゃないか、と言い出した時は微笑しすぎて祖母みたいな気持ちになった。親にすらなったことないのに。
だけど仲間ライダーがいない代わりに警察が協力者としてちゃんと機能してくれて、ちゃんと一緒に戦ってくれる。
警察側のみなさんも最初多少の摩擦はあったにせよみんな物分かりがいい。
相棒的ポジションになる一条さんのこと好きにならん視聴者おらんだろあんなもん。
現実世界にライダーがいたらこういう感じかも、と思わせるリアリティーもよくて、ライダーだけど刑事ドラマみたいな仕上がりだった。
本当に大人のための特撮っていう感じ。
敵であるグロンギがグロンギ語でしゃべるので何を言ってるのか全然わからんのよ。
全然わからないのにまあまあの尺しゃべってくる。
しかし、調べると全部翻訳してくれてるサイトがすぐ出てくる!ヲタク怖い!すごい!
必要な方はそちらを片手にご覧ください。
【平成2作目】仮面ライダーアギト
〜ミステリー要素強め。朝8時台からやっていい複雑さじゃない〜
唯一放送当時にちゃんと観ていた作品。
とにかく難しいのと要潤が出ていたこと、神木隆之介が可愛かったこと以外の記憶がないので実質初見。
改めて観ても難しかった。
大枠はわかる。あかつき号の話やアギトの能力のこととか。
謎が謎を呼ぶ展開も引き付けられるし、私みたいにミステリーが好きな人はきっと楽しめる作品だと思う。
しかも謎だけじゃなくて各キャラクターにしっかり感情移入できるし、メインとなる3人はもちろん脇を固めるキャラたちの心模様も大事にされてた。
エヴァもそうだったように、アギトも結構神々や神話、それらと人間というものがベースにある感じで、こちらの知識不足で拾えてなかったんだろうなぁという感覚を観ながらでもひしひしと感じた。
その分考察ブログを読むのが楽しくなるし、ここはこういう意味だったんじゃないかってついつい自分の中で深掘りして考えたくなっちゃうんだよね。
平成後期のライダーはライダーとして戦うことに苦悩してないみたいなツイートを見かけてしまったことがあるんだけど、みんなそれぞれ形は違えと悩んだり苦しんだりはしてるんだよ。
大なり小なり、所謂普通の人間というものではなくなってしまっているわけで。
ただ、それを加味してもアギトにおける自分の意思とは全く関係なしにライダーとしての能力を手に入れてしまった人たちの描写は際立つ部分があってかなり見応えがあった!
要潤のG3も効くポジションにいて、日曜朝の起き抜けの頭じゃ到底追いつけなくて最高。
ライダーの能力を手に入れてしまったが故に起こるであろう不幸の全てを背負わされるギルスも、最後は可愛いお友達ができて思わずニッコリしちゃったよな!
とにかく面倒で鬱陶しい北條さんもよろしく!
【平成3作目】仮面ライダー龍騎
〜CG技術が急成長。13人もライダーがでてくるけど大丈夫〜
脚本:小林靖子のクレジットに期待大で視聴を開始。
13人もライダーが出てくるということで、脳の容量がとうの昔に限界を迎えている私はビビり散らかしていましたが、よかった。
出てきてすぐ退場になる奴もいるし、5人くらいわかっといたら全然問題なかった。
それにしても、まるで見つめている方向の違う人間の感情に短時間で晒されるというのはこんなにも疲れるものかと・・・ら完走した時にはぐったりしちゃった・・・。
これは12時間視聴とかしてる私がバカなだけで、それだけ複数人個々の感情がちゃんと描かれていたっていう証拠!
誰目線で物語を見つめるかによっても感想が変わってきそうだし、その人の大切にしているものがなにかによっても読み解き方にかなりばらつきが出そう。
私が見つめた仮面ライダー龍騎、ってタイトルで感想文回し読みしたい。
時代というか世相というか、その時の空気がきっちりパッケージされてる作品だったので時間が経ってから改めて評価をされたっていうのも納得だった。
渦中にいるとわからないことってあるもんね。
13人のライダーが最後の1人になるまで戦わないといけないんだけど、東條というキャラクターが残りのライダーを一掃しようと考えた作戦が賢いと思わせるわりにパワーに満ちていてとても好きだった。
思い切りとパワーはいつの時代も大事。
難解なストーリーではないけど、白黒の答えが簡単に出せないという意味で難しい話だった龍騎。
それぞれの想いが交錯しまくるから、感じたことを伝えるのもまた難しい。
ちなみに主人公は終盤、子どもにトラウマになるのでは?と心配になっちゃう展開になります。
ドラグランザーと呼ばれるバイクのデザインが
龍騎のバイク車検通らんそうで好き
— 久川 ヒサヲ (@Hisawadee) 2021年10月25日
こうなっちゃう仕上がりなので、よかったら検索してほしい。
【平成4作目】仮面ライダー555
〜全部かっこいいので無理という感情に綾野剛を添えて〜
私の最推し作品の2つ目はこれな!!!!!
555はかっこいいもんな!!!
OPも見た目も技も変身サウンドも全部かっこいい上にストーリーが私の好きなタイプ。
そりゃ無理よ。
555はファイトスタイルもいい。
平成後期は派手な必殺技やてんこ盛りの変身フォームに夢中でそこまで意識が及ばなかった。
ウィザードがえらく回転するな、ってくらい。
でも、ライダーはそれぞれちゃんとファイトスタイルが違うということに平成初期作品を見ていく中で気がついた!
555はヤンキーのケンカみたいな戦い方するんですよ。
悪を成敗っていうよりも、とりあえず目の前のこいつ沈めたろみたいな。
元々のセンスと野良で鍛えた所謂喧嘩殺法は、いい意味でライダーらしくなくて光ってた!
この後のブレイドやカブトがきちんと格闘技を知っているタイプの戦い方をしていただけに、より際立ってたよ。
必殺技のクリムゾンスマッシュも無理。かっこよすぎて怒っちゃう。
555の変身は人が作り出したシステムで、人が作ったものだからこそ必殺技を出すにも装置を付けて準備をしないといけないんですよ。
この準備と待機姿勢までもがかっこいい。スーツアクターの高岩さんから生まれた偶然の産物に感謝しかない。
ガラケーでの変身も、人が開発したシステムっていう前提のおかげで「それならその当時の技術使うよね」って自然と受け入れられて変な古さを感じずに済んだ。
それでさらにストーリーまでいいときたら困っちゃうよね。
ノートルダムの鐘じゃないけど、誰が人間で誰が怪物か的なことを考えずにはいられなくなるし、何をもって正義なのか、何をもって悪なのか、その選別は誰がするのかとか展開していくストーリーの中で悶々としてた。
草加にイライラしながら。
草加は全ライダーの中で比較にならないくらい嫌いだし、気持ち悪い奴だった。
必要悪の域を超えてる。
非常に人間臭いキャラクターなので好き、という意見や過去を考えるとあんな仕上がりになってしまうのもやむなし、という声もあるけど、女への迫り方がキモすぎるので私は無理。
あぁいう男はなにがどうなってもダメ。
そんな草加の話はさておき、555といったらやっぱり気になるのは綾野剛。
ライダーではなく敵側での出演なんだけど、かなりいい役をもらっていて見応えがあるので気になっていた人がいればこの機会に是非。
数回出て終わりではなく、しっかりストーリーに絡んできてくれるよ!
555は敵であるオルフェノクの設定も、まあなんとも心がしんどくなる感じで優秀なんだよね。
デザインも統一感があっておしゃれだし、初回から視聴者を絶望のドン底と割り切れない感情の谷に突き落としてくれる。
あまりにも素晴らしい。
最終回は、非常に後を引く濃い余韻・・・現代だったらpixivのタグがパンパンになるだろこんなもんよ、みたいな終わり方してくる。
好き。大好き。standing by complete!!
【平成5作目】仮面ライダー剣
〜橘さぁん!!!!!!!!〜
職業としてのライダーということで非常に楽しみにしていた今作。
お仕事アニメ大好きマンの私は、お仕事としてヒーロー業をやるということをどう描くのか期待に胸を膨らませて再生。
まさか第1話で組織が崩壊するとは思わなかったよね。
本当に驚いた。いくらなんでも尖りすぎ。
私の期待していた部分は20分もかからずになかった設定みたいになった。
終盤に給与の振り込みが途絶えたと主人公が嘆くシーンがあるけど、それ以外は特になんもない。めちゃ細かく探したらあるかもだけど、リアタイしてた人たちもあのシーンまで忘れてたと思う。
っていうか給与はちゃんと支払われてたんかい。
正直ブレイドはそこまで刺さらなくて、ストーリー的にはチャレンジしたい気持ちが先走ってるような印象だった。
同じようなことを感じていた人も実際多かったみたいで、ただ「終わり良ければすべて良し」を地でいく作品という感想を多々目にする。
中盤でネタバレをしない程度にそういった感想を複数読んだけど、ここまでの展開を全てよしとするってどんなエンディング?と半信半疑だった私、最終回で無事に「終わり良ければすべて良し」と天を仰ぎました。
ライダー史に名を残す最高のビターエンドが待っていた・・・。
ジオウを全力で楽しみたい、というのも平成前期を観る理由になってたから、このエンディングのせいでジオウのブレイド回がとんでもなく心をえぐってきてくれたのはキツかったけど嬉しかった。
この最終回のために残りの48話は存在していると言っても過言ではない最終回。
終わった後はちょっと放心してしまった。
【平成6作目】仮面ライダー響鬼
〜異色すぎるライダーは最高のお仕事ドラマ!〜
フォーゼやエグゼイドともまた違う、明らかに様子がおかしい見た目でお馴染みの響鬼。
新人や若手俳優を起用してきたここまでのライダーから一線を画し、主役には細川茂樹が抜擢され、作中でも仮面ライダーという単語は出てこない仕様。
これまでにも仮面ライダーと称されない作品はあったけど、響鬼ではライダーに当たるポジションの人たちが「鬼」と称され、敵である魔化魍(まかもう)退治も「出たな!魔化魍!」みたいなテンションではなく、調査→発見→退治と非常に業務感が強い段階的な作業になってる。
ブレイドより圧倒的にお仕事ライダーでは?
私はお仕事アニメが大好きだから、賛否分かれたこの響鬼もかなり好きだった!
でも、当時子どもにウケなかったっていうのもすごいわかる。
私も子どもだったら絶対食いついてない。
響鬼は猛士(たけし)という組織の一員で、そこには響鬼意外にも響鬼みたいな鬼が複数所属し、先輩後輩の育成制度やシフト表による勤務管理も有り、情報管理室のようになっている和菓子屋から随時魔化魍の情報が発信され、サポート役の仲間や後輩鬼と共に現地へ機材車で向い、ディスクアニマルと呼ばれるアイテムで詳細な調査を行なってから敵を倒します。
ほーんと、こういうの大好き興奮しちゃう。
組織の名前が猛士ってダサくない?みたいな声も見かけたけど、初手のエグゼイドでポッピーピポパポを喰らっている身としては、組織の名前が人名っぽいくらいなんてことなかったな!
ライダーだと思わず、特撮お仕事ドラマだと思って見れば抵抗感のある方でも多少は受け入れやすくなるのでは・・・。
キャラクターも落ち着いている人が多いし、猛士の面々も仲が良く全員で協力してやっていってるのも個人的にポイントが高かった!
桐矢京介は除きます。
途中で本当にクッソ面倒な奴が参加してきちゃうんだよな・・・。
でも、ライダーの枠で放送している以上はまったりのんびりお仕事ドラマを展開しているだけともいかないだろうからやむなし・・・にしてもストレスすぎたけど。
ライダーを欲している人には物足りないかもしれないけれど、私と似た嗜好を持っている人方にはめちゃくちゃに観てもらいたい作品。
観てくれたら桐矢への文句も喜んで聞きます。
【平成7作目】仮面ライダーカブト
〜おばあちゃんが言っていた、カブトは見た目が100点だと〜
ここにきて原点回帰とも思える昆虫モチーフ。
これは見た目だけで「このライダー始めてみようかな」と思わせる天才的デザイン。
天才が暴れまわっちゃってる。
カブトにはキャストオフとクロックアップっていう2大全人類大好きだろ要素が備わってる。
画像を見てもわかるように、赤くカブトムシを思わせる見た目の後ろにシルバーのちょっともったりしたのがいるんだけど、これもカブト。
カブトはエグゼイドのような2段階変身をする。
この2段階変身がキャストオフ。脱皮みたいなね。
まずはシルバーのやつに変身、その後ベルトを操作してキャストオフ→赤いカブトムシスタイルへ。
これがべっらぼうにかっこいいんだよなぁ!もう!
男の子はこういうの好きだよね、じゃ済まされない。
キャストオフは全人類が好き。知ってる。
もう1つのクロックアップは、サイボーグ009の加速装置やSPECの一(にのまえ)みたいなやつ。
周囲よりも圧倒的な速さで動いて戦うから、我々一般人の目には見えないのよ。
今この瞬間も、もしかしたら目の前でカブトが戦ってるかもしれない!
もー、好きでしょ。こんなん。
男だけのワクワクで収められてたまるかよ。みんな好きだわ。
カブトのファイトスタイルが、相手の出方をきちんと見て技をかわしてカウンターで打ち込むタイプなのも、このクロックアップでさらに魅力的に見えるんだよ・・・。
圧倒的な動の能力と静かに戦況を見据えて敵を打ちのめす感じが・・・たまらんね・・・。
さらにカブトは中の人までかっこいいん。
主役は水嶋ヒロ。フォーゼでの吉沢亮に同じく、こちらも初回から完パケです。
主人公はなんでもできちゃう完璧超人という設定。なんせ見た目が水嶋ヒロなので全部納得。フィクションにならない。
一歩間違えれば鼻につく嫌な奴にもなりかねないキャラクターだと思うんだけど、愛嬌というか、庶民たちが愛せる隙みたいなものもきちんと同居していて、絶妙なバランスのもとに輝いている主人公だった。
ストーリーに関しては私はあんまりだったけど、サブライダーのガタックをはじめかっこいい変身がたくさん見られるのがカブトの醍醐味でもあると思うから、最後の雑なパリ描写も含めてトータルでOKです!
【平成20作目】仮面ライダージオウ
〜平成のお家芸!爆盛り変身の集大成〜
平成最後を飾るのはジオウ!!
待ってたー!!!!
観る前から断片的にヤバい情報ばっかり入ってくるからワクワクしてたー!!!!
ライダーで検索をしていると、目的としている作品以外の画像も引っかかってくるわけで。
そんな中で会ってしまったのがジオウのこれ。
世間じゃ仏壇と呼ばれているらしい。
それを知らずにこの変身フォームを知った私は良くない買い方したロレックスって呼んでた。
そう、ジオウのモチーフは時計。
主人公が変身するジオウはアナログ時計、サブライダーであるゲイツはデジタル時計、そして3人目のライダーとして登場するウォズはスマートウォッチ。
時代を感じる。なにかと今を感じさせてくるのがジオウ。
主人公の生年月日が設定上2000年で引いてたら、本人もリアルガチ2000年生まれだった。
電王の主人公は1988年生まれ設定だったのに・・・。
ジオウは時をかけます。
その中で過去のライダーたちに出会い、変身アイテムであるライドウォッチを入手→そのライダーに変身が可能に。
しかし、さすがは平成の集大成。過去ライダーをモチーフにした変身もただでは済まない。
これは鎧武のライドウォッチで変身したジオウ。
これ公式サイトの方がわかりやすいので是非とも検索してもらいたいんだけど、オレンジのはずなのにちょっと離れたらタラバガニにしか見えない。
こちらはWのライドウォッチで変身したジオウ。
ガイアメモリがデカすぎる。
こんな感じで、平成特有の盛りすぎ変身が極まりまくってます。
秩序を失ったラーメン屋みたいな変身は元気が出るから大好きなんだけど、ここまで19作品で鍛えられてきたはずのライダー筋肉が一切役に立たない場面がいくらなんでも多すぎるのよ。
ディケイドに関しては顔が画面で本当に普通に笑ってしまった。
顔の四角い部分が画面。顔面タブレットだと思ってもらったら大丈夫。
ジオウはそもそもから顔に「ライダー」と書かれている奇跡のデザインなんだけど、過去のライダーに変身したらその都度顔の文字が変わるし、足の裏には「キック」と書かれていて、ライダーキック時にはそれが見えたり、当たり前みたいにロボで攻撃したり、情報量が尋常じゃない。
まぁ、仮面ライダーだしな。であっさり受け止められる部分がかなり多くなった自分も怖かったけど。
なんであれ、そうはならんやろ!なっとるやろがい!は人を元気にする。
元号が変わるときのお祭りムードを考えると妥当。
時代に即したライダー。
そして、冒頭に紹介したグランドジオウ。良くない買い方したロレックスフォームに変身する時がいよいよ訪れます!!
ストーリーを踏まえてもヤバいわ、となるに違いないと思っていた私。
感動して半泣き。
変身する時にね、ここまでの全ライダーを観てきた人へのご褒美みたいな演出があってね・・・感極まっちゃった・・・。
感動する映像集の1つに余裕で加えた・・・グランドジオウの変身最高・・・。
見た目ヤバいのは変わらんけど。
主人公が最後、ある問いかけをされるシーンがあって、たぶんこれまでの主人公なら「それでもやるよ!」とか「不安だけど、仲間がいるから!」って答えると思うのよ。
でもジオウの主人公は「なんかいける気がする」って答えるの。
今時の若い子って感じで、私はこの受け答えがめちゃくちゃに好きです。
ストーリーについて全然触れなかったけど、ジオウはお祭りだと思ってるので。
ちなみに、スマートウォッチライダーであるウォズの変身ベルトはCV.MOROHAのアフロくんです。
【令和1作目】仮面ライダーゼロワン
〜史上最高の第1話。新時代の幕開け〜
ついに令和ライダー突入!時代が変わった!
なのにコロナ禍の煽りを受けてしまったの心の底から悔しすぎる・・・。
主人公はお笑い芸人を目指していたのに、父親の死によって社長職に就くことになってしまった飛電或人(ひでんあると)。
名前からしてとんでもなく令和。
今作では人間とヒューマギアと呼ばれるアンドロイドとの関係性や共存なんかをテーマにストーリーが展開していきます。
そこで忘れちゃならないのが滅亡迅雷。
人類を滅亡させるというわかりやすい目的をもったヒューマギア4人組。
目的がわかりやすけりゃかっこよさもわかりやすい。
コロナがなければ彼らはさらに活躍したり、主人公と絡んだりという設定もあったらしい・・・。
前半はこの滅亡迅雷と主人公たちで話が展開していくんだけど、結構ヒリヒリさせる内容で良い緊張感が維持されていて相当楽しませてもらいました!
その後のお仕事5番勝負編で急にストーリーの人格変わってビビったんだよな。
その後コロナの影響で特別編が挟まったりしてリズムが狂ってしまったのももったいないし悔しい・・・ゼロワンはなにかっていうとそういう感想ばかりになってしまう・・・。
めちゃくちゃ個人的なことを言えば、21年春アニメ「Vivy -Fluorite Eye's Song-」で人間とロボットの話の最適解を見つけ出しちゃってたのも、ちょっと物足りなさを感じてしまった原因かも。
でも!!
新しい時代のライダーが始まる第1話は平成シリーズを含めても1番じゃないかっていうくらいの完成度なんですよ!!
なんと観られちゃう!!!!
平成ライダーとは一味違うライダースーツのデザインからもわかるように、ゼロワンはスタイリッシュ。
変身も「まだこんなにかっこいい変身があったのか!」と20作品を経てきてもなおそう思わせてくれる仕上がり!
その後の戦闘シーンや主題歌のタイミング、その全部が100点。
新しいライダーの始まりだ・・・!!
本気でそう感じさせられて、自分でも目が輝いてしまっているのがわかった。
かっこいいんですよ。かっこいいんです、ゼロワン。
映像技術も相まってテクノロジーを感じる場面の多いゼロワンだけど、1人だけすべてをパワーで片付けてくる愛おしい奴もいます。
やはり令和であっても、力こそパワー。
【令和2作目】仮面ライダーセイバー
〜主題歌よありがとう。これは約束されたハッピーエンド〜
友人が激ハマりし、底無し沼に2度漬け3度漬けされていた作品。
今作は龍騎ばりに登場ライダーが多く、みんなそれぞれに推しが見つかっているご様子。
主人公は作家ということで、ジャンルに偏りはあれど読書が好きな私の期待も大。
変身アイテムが本だったり、物語を紡ぐ、1人1人に物語がある、という方向で主人公が作家であることが活きてくるので、ちょっと思ってたのとは違った・・・。
セイバーにおいて私が圧倒的に良かったと感じる部分は3つあって、まずは2人目のライダーであるブレイズのキャラクター。
こんなに受け入れやすくて心優しいセカンドポジションそうそうおらん。
味の濃い人間の満漢全席になりがちなライダー作品において、ブレイズことりんたろうくんの存在はマジで砂漠のオアシス。
こういうタイプの子がまだこのポジションに置いてもらえるなんて・・・!って感動しちゃった。
最初から最後までずーっと良い子。でも真っ直ぐで優しくて、人の気持ちに寄り添えてしまうが故に本人も途中かなり歯痒い思いをしたね・・・がんばったね・・・。
このポジションでこのキャラクター性は相当希少価値高い。
みんなもっとりんたろうに感謝した方がいい。
2つ目は敵であるデザストの存在。
複数登場するライダーの1人と心を通わせていく描写とその結末は主軸の話を食うレベルで良かった。
敵キャラが主人公側の人間と触れ合うパターンはこれまでにもあったけど、デザストは異質なんですよね。
当人もその異質さから思い悩んだりするわけなんだけど。
敵だけど心は善良とかではなくて、でもちゃんと個と向き合うことはきちんとできる。
セイバーは味方同士が仲違いをしてしまう描写が際立つから、より一層デザストのそういう部分が刺さってくるだよな・・・。
CV.内山昂輝だし。
根っからの善きキャラクターではないからこそ、彼自身の未来に不安も募らせることができてさらに一段ストーリーを味わい深くしてくれました。
3つ目は主題歌。
絶対にハッピーエンドが待っていると確信させてくれる最高の主題歌!
これもまぁ賛否あったみたいだけど、この曲で鬱エンドなわけねぇわな!と大あぐらをかかせてくれたおかげで、何が起こっても「大丈夫。川上洋平が唄っているうちは大丈夫」って心を強く持てた。ありがとう。
久しぶりにED曲があったのもよかったね!響鬼ぶりかな。
もっと個々のキャラクターを掘り下げてほしくもあったけど、撮影も色々と制限される中で多人数ライダーをやりきって、ここまでファンタジーなライダーを生み出したセイバーはまた新しいライダー像を作り上げてくれたと思ってる!
最後の視聴者投稿動画に私は「え?」ってなっちゃったんだけど、友達はしっかり感動していたので、物語はほんとに人それぞれ。
以上です。
いかがでしたか?
ここまでで2万字近く書いてしまったので、読んでくれた人にまずありがとう。
刺さった作品とそうでない作品とで感想に明らかに差があったと思うけど、どのライダーに心奪われるかは人によって異なるから!
私はまず1番にストーリーが気になるタイプで、中でも井上敏樹さんの脚本が好み。
でも、変身フォームや技、アクションや敵キャラクター、主演俳優などなど、人によってこれってものは全然違うから、私の感想はあくまで参考程度にしておいてほしい!
参考にする人おるか知らんけど!とにかく左右されないで!
さぁ、みんなも仮面ライダー始めようぜ!とは言わないけど、気になってくれる人とりあえずなにか1作品と思ってくれる人が生まれてくれたらそれはもちろん嬉しいので、選ぶのに困ったら聞いてください。
人生は確実に潤いました。
今年はちょうど50周年ということもあって、イベントや過去ライダーの登場も多くてありがたいです。
ライダーを始めるきっかけとして色々あったと書いた中には、リバイスが過去ライダーをモチーフにしたフォームチェンジをしてくれたこともあったので、リバイスもありがとう。
いやぁ、良い趣味見つけちゃったなぁ!
おわり
金田一少年の事件簿シリーズ全198話を完走した話
私と同じ世代の人たちは、きっと私と同じようにそれなりの思い出があるであろう作品。
そう、金田一少年の事件簿です。
緞帳が降りると何も聞こえなくなると知ったのも金田一、ナルコレプシーという病気を知ったのも金田一、老眼と近眼でレンズが異なると知ったのも金田一、烏の読み方を知ったのも金田一、特殊な血液型の存在を知ったのも金田一・・・。
私は堂本剛版のドラマ金田一と、97年から放送していた初期アニメの記憶がめちゃくちゃあります。
年齢を重ねると最近のことは忘れるが昔のことははっきりと覚えているようになるとよく言われますが、私が老いても忘れない記憶の一つは確実にこの金田一シリーズでしょう。
そもそも、なぜアニメ金田一少年の事件簿を観ることになったのか。
始まりは友人のゲーム配信視聴中のなにげない会話で、そういえば金田一のゲームがあったよね、という流れから実際にプレイしてみようと言う話になりました。
それがこれ。
悲報島という名前に聞き覚えがあり、Netflixで配信も行われていたことから、私は金田一の記憶無駄に持っているマンとして予習のための視聴を宣言。
それをきっかけに結局全話完走にいたり、これだけの超大作を折角完走したのでブログも書こう!となったわけです。
・金田一一
・犯人
・トリック
この3つにスポットを当てて書きますね。
・金田一一
言わずと知れたシリーズの主人公。
じっちゃんの名にかけて謎を全て解いていくIQ180の高校生。
そんな金田一くんですが、令和の時代を生きていくことは到底不可能だろうなという驚異的なコンプラNG精神を持った奇跡の主人公です。
そもそもはゲームにもなった悲報島から始まったのですが、お決まりの「犯人はお前だ!」の場面で、度肝を抜かれるようなコンプラNG行為をかましてきます。
これがなければ全シリーズ完走しようと思わなかったかも知れない。
これだけでも確認してほしいくらい。
しかし、この衝撃的なコンプラ違反もシリーズを完走した今となっては犯人相手だしまぁ可愛いもんかと思えてしまうレベル。
金田一はとにもかくにも女の体のことしか考えておらず、抜群の推理力でもって難事件を解決してきたといっても到底許されない領域をゆうに超えてきます。
風呂場を覗くことを絶対に諦めず、スカートをめくり、初対面の女性にもガンガンいやらしい目を向け、タイムカプセルに同級生女子の下着を入れ、挙げ句の果てには中学生時代に美雪のパンツを盗むという行為までしています。
普通に犯罪。
犯人はお前だ。
子どもの頃は、普段は冴えないけど推理はすごくてかっこいい高校生と思っていましたが、大人になってみると絶対に社会に放ってはならない性犯罪者(推理もできるよ)にしか見えない。
回を重ねるごとに「どの面下げて犯人に説教こいてんだよ」という気持ちのフォントサイズがデカくなる。
マジで一回ちゃんと裁かれろ。
なんだかんだで美雪のことは大事にしている、とお思いの方も多いかもしれませんが、金田一は事件を通じて出会った速水玲香というアイドルにガンガン浮気心を働かせています。
玲香ちゃん自身も金田一にほの字なのも謎。
アイドルやりすぎてメンタルやられてると思うから、仕事調整してゆっくり休んでほしい。
にも関わらず、金田一は美雪に男性の影があると尾行をして盗撮したり、自分を棚に上げて大声で喚き立てるというモラハラ夫気質までバッチリ搭載済なんですよ。
美雪には早く目を覚ましてもらいたい。
ちなみに、金田一のいとこにあたる二三(ふみ)のセンスもなかなかのもので、小学生にしてweb漫画に出てくるステータス重視クソ女としての才能を遺憾なく発揮し、化粧っけのない女性刑事をサラッとブス呼ばわりしたり、写真撮影をお願いしてきた女性たちを整形だと言ったりもする。
怖い。
当時は月曜の19時に放送されていたんですよ。
今ならTwitterがお祭り状態になるんだろうな、と198話中300回くらい思ったよね。
・犯人
作品に欠かせないのは、ありとあらゆるトリックを駆使して殺人をかましてくる個性豊かな犯人たちです。
初期シリーズはわりと記憶にあったので「そうだそうだ、こいつ犯人だったわ」みたいな感じで楽しんでいたのですが、それでも延々と同じアニメを見続けていると違った感情や見え方が生まれてくるものなんですね。
顔の見えない登場人物がいると興奮するようになるんですよ。
金田一はお話が始まる前に登場人物の一覧が出るのですが、そこに素顔のわからない人間がいたときの高まりといったらないです。
顔に包帯、ゴムマスク、仮面、ゴムマスク、サングラスとマスク、ゴムマスク、とバリエーション豊かに素顔を隠した謎の人物が登場します。
中の人は大体犯人です。一人二役お疲れ。
シリーズ後半になると地獄の傀儡子こと高遠であるパターンもあります。
「こいつ、俺のことを知ってるのか?」じゃねぇよどう考えても高遠だろ気付けや、と思いながら観るの最高です。
そして犯人たちの多くは様々な名前がついているんですよね。
犯人以外の人間が、元々存在する噂や伝説から「○○の呪いよ!」みたいな感じで名前がわかるパターンもあるのですが、問題は自ら名乗ってくるパターン。
「仏蘭西銀貨殺人事件」の犯人は脅迫をして駒として利用している人間に、電話口で「あなたは誰なの!?」と尋ねられます。
犯人は答えます。
「そうですねぇ、葬送銀貨とでも言っておきましょうか」
絶対事前に考えてるやつだし。
なんなら葬送銀貨は殺す相手の死装束としてドレスをサイズぴったりに縫い上げ、フランスの銀貨を添えて送りつけているんですよ。
こういう風習がフランスにはあるらしく、それを葬送銀貨と呼ぶそうです。
絶対間違いなくめちゃくちゃ考えて意味も持たせてる。
それなのに、あたかも今思いつきましたみたいなのやめよう。よくない。
あとで自分が大怪我するから。
関係者全員の前で「お前が葬送銀貨だ!」って言われるのわかってて観るの厳しい。
今も昔もインターネットにまともな人間はいないということを教えてくれる「電脳山荘殺人事件」でも、犯人は「電脳山荘殺人事件」「殺人者:トロイの木馬」とキーボードで打ち込んでいるくせに、葬送銀貨と同じノリで名乗ってきます。
本当によくない。
まだ予告状とか犯行声明文みたいなので名前を残しておくほうがマシ。
万が一、自分が連続殺人を犯さなければならない状況になったとしても、妙な名前と手間暇かけた見立ては絶対にやらないでおこうと心に誓いました。
みんなも気をつけて。
そして、これは2時間サスペンスでも間々あるギャラで犯人が誰かわかっちゃう問題にも通じるものなのですが、このキャラクターの声どこかで聞いたことある!と思ったらそいつが犯人である可能性が極めて高いです。
田中真弓、大谷育江と続いた時はどうしてやろうかと思いました。
・トリック
これも作品を彩るために欠かせないアイテム。
漫画やアニメだからこその大胆さや派手さを兼ね備えたトリックは魅力的で、同じ密室でもよくこんなに多くの手段を思いつくなと感心させられます。
私はあの名作「雪夜叉伝説殺人事件」のトリックが大好きなのですが、初見だった新シリーズ金田一少年の事件簿Rでは、雪夜叉を遥かに凌ぐ衝撃トリックが次々と披露され心が躍りまくってしまったので、勝手にベスト5で紹介させていただきます。
あえて詳細には触れないので、是非みなさんの目で確かめてください。
5位 雪夜叉伝説殺人事件
先にも書いた初期の名作トリックです。
こちらのみ初期シリーズ。
犯人のやってTRYな強い気持ちと雪国のとんでも底力を感じられます。
4位 飛込プールの悪霊
犯人の努力と苦労に涙が出ます。
そもそもこれを思いつかないし、思いついてもやらないし、犯人自身へのリスクもすごい。
そもそもバレるだろあんなの。
珍しい1話完結ものですが、トリックのエッジの利き方は長編回に引けを取りません。
3位 錬金術殺人事件
犯人は工業高校出身か?と思わせる技術力と職人技で魅せるタイプのトリック。
誰にも目撃されなかったことが奇跡としか言いようがなく、作者側のどんな手段を使ってでも絶対に密室を作り上げるという情熱が生み出したであろう名作です。
2位 香港九龍財宝殺人事件
金属の無限の可能性と、それはもう魔法では?という奇跡の瞬間に立ち会えます。
Rになって最初の事件ということもあってか、日本を飛び出してのかなり大きな事件でその気合がうかがえます。
この規模感で見せられるこのトリックは震える。
1位 雪鬼伝説殺人事件
最終回の事件が余裕で霞むレベルの超絶トリック。
これをトリックと呼ぶとトリックにぶん殴られるだろうな、という犯人の常識に囚われない自由な発想から生まれたアメイジングすぎる荒技が拝めます。
律儀に着替える犯人と、急に怪人のディテール考えるの嫌になっちゃった?と不安になる雪鬼のキャラデザも味わい深いです。
番外1 墓場島殺人事件
トリックとは別の部分でのオススメなのですが、慣れないことを急にやりはじめたことに対する動揺、突然の置いてけぼりをくらった衝撃、そしてアンナチュラルにおけるlemonを見習えと叫びたくなったあの気持ちを共有したいので挙げておきます。
これ単体だといまいち伝わらないと思うので、5つか6つくらいの事件を解決したのちにどうぞ。
番外2 金田一少年の殺人
ただのSASUKE。
以上です。
○○してたあの回どれだっけ?という質問にもお答えできる状態ではありますが、
村
館
島
山荘(ロッジ、コテージ)
これらのヒントはノーヒントとほぼ同じなので気をつけてほしいです。
もう行くなよ金田一。
本土との連絡船は指定の日まで来ないか台風で流されたか、犯人がロープを切ったかのどれかです。
ついに船ごと燃やした回はアツかった。
携帯は電波が届かないか持ち込みを禁止されているか。
電話線は切られています。
ここまで書き綴っておきながら、絶対に観て!と強く言えないところが金田一のいいところだなと改めて感じながら締めの言葉を考えています。
あれだけ寸暇を惜しんで必死に観たのに。
ちょっと気になって調べてみたら、名探偵コナンは2020年8月現在970話を突破しているようです。
そう思うと、198話ってすぐやれそうじゃないですか?
どうです?
おわり
事件は自宅で発生させる話
世の中とんでもないことになっていますね。
必要な外出であっても石を投げられそうな今、みんな色んなお家エンタメを教えてくれるけど、本のオススメしてくれる人がなかなか出てこない。
なので、ミステリー小説大好き妖怪の私がものすごく偏ったオススメをまとめてみました。
読書はいいですよ。
私はバンドとジャニーズと芸人の掛け持ちをしている、世間一般からするとなかなかにヤバい側の人間なのですが、本を読んでいるというただ一点だけでそのヤバさが帳消しになる瞬間が多々ありました。
「ミステリーばかり読んでいるので、基本年がら年中人が死んでいる状態」
「事件が起きるのは早ければ早いほうがいい。100ページ以内で2人死ぬと調子がいい」
こういうコメントをしてもなお、バンドのライブをハシゴしながらジャニーズのパンツに紙幣を挟むことを喜びとし、M-1で吐きそうになりながら最終的には泣くという事実を全部弾き飛ばして
読書をしている=賢いんですね
みたいな印象が勝る。
賢さは買える。
字だけの本は難しい!みたいに思ってる方もね、いらっしゃるかと思うんですよ。
全然難しくないです。
安田章大さんはミニオンとお友達で移動はユニコーン、自宅の玄関ドアはエクレアでできていて、わたあめのお布団で寝るの。
これを真顔で言う私でも読めているので!
ただ、これらはすべて事実なんですけどね。
そんな感じです。
Amazonのリンク貼ってあるけど、アフィリエイトじゃないです。
「 なんでもいいからオススメ教えて!と言われた時にオススメしているやつ」
・13階段 高野和明
殺人の罪で服役していた青年と刑務官が、冤罪の可能性のある過去の事件を追っていく話。
あの横山裕さんもオススメしていた作品。
とても映像的な文章を書く作家さんだなと思っていたら、高野さんはかつて映画監督を目指していたとのことで納得。
後半はそのスピード感で息切れするくらいの面白さ。
・ハサミ男 殊能将之
ミステリーのトリックには色々と種類があるんですよ。
この作品は「叙述トリック」と呼ばれるものが使われています。
ネタバレだ!と思うかもしれませんが、叙述トリックもの界の爆裂有名作品として鎮座している一冊なので、叙述トリックがなんなのかを知っている人も、そんなの初めて知ったよという人も、殊能さんの世界に翻弄されてみてください。
ハサミ男は一体誰だ!?
映画化もされました。
私は、この本を読んだこともなければ映画も観ていない、全くストーリーを知らない、という人がうらやましくてたまらないです。
東野圭吾?あぁ、なんかいっぱい映像化されてて有名だよね、くらいの熱量の人にこそ読んでほしい。
全てが明らかになった時、私は言葉を失いました。
・新参者 東野圭吾
こちらもドラマ化、映画化された人気の加賀恭一郎シリーズです。
尖ったHPでお馴染み阿部寛さんのあれです。
シリーズの一作目ではありませんが、私はこれで加賀恭一郎に出会い、なんの問題もなく楽しめました!
短編集のような形をとりながら、一つの事件の真相にたどり着いていくので、長編を読むのは体力がいるな…という方でも手を出しやすいと思います。
余談ですが、シリーズの中では「眠りの森」が一番好きです。
・満願 米澤穂信
こちらは完全なる短編集。
みんなのえるたそ、氷菓の原作を書かれた作家さんです。
ホラーの要素もある作品ですが、幽霊どうこうではなく具体的にちゃんと人間が怖い系のやつです。
一つ一つのお話が短いながらも濃密で、収録されている「万灯」は長編を読んだかのような感覚にもなりました。
世にも奇妙な物語やブラックミラーがお好きな方は是非!
「読後の攻略感が増すよね!上下巻モノ」
・いつもの朝に
遺伝だとか過去の罪だとか、かなり重いテーマのストーリー。
それでもミステリーとしての質の高さと、今邑さんの読みやすくテンポのよい展開でどんどんページをめくってしまう作品です。
私は、きっとこういう展開になるんだろうなという予想を上巻で見事に裏切られ、駆け足で下巻に飛び込みました。
重たいだけでは終わらない、家族にまつわるお話です。
・贖い 五十嵐貴久
記憶を消してもう一度読みたい作品の一つ。
バラバラの土地で発生した殺人事件、読み始めた私は「え…まだページこんなにあるけどどうするの?」となりました。
私がゴールだと思っていた場所は、ただの通過点でしかなかった…。
作品にめちゃくちゃ入り込んでいたので、最後は一緒に警察車両に乗り込み、急いで!!と叫んでいたので、皆さんも叫んでください。
・犯罪者 太田愛
相棒の脚本を手掛けたこともある方が小説家としてデビューしました。
ここでCM入るな、とか、ここでBGM流れてくるな、みたいなことが読んでいく中で自然と見えてくるのはさすがですし、キャラクターや展開を取っても、今すぐスペシャルドラマにして二夜連続で放送しろ!という感情がゴリゴリに湧いてきます。
全ての始まりは白昼の通り魔事件。
エンタテインメント性は抜群に高いです!
幻夏、天上の葦とシリーズが続くので、主要な登場人物に魅せられた方はそちらもどうぞ。
「ただの趣味」
・絶叫 葉真中顕
無茶苦茶面白いけど無茶苦茶重い。
一人の女性の人生が綴られているのですが、それがとんでもない転落ぶり。
でも、現実にどこかであるかもしれないと思わせてくる力のある作品です。
かなり社会派な内容ですが、はっとするミステリー要素もしっかりあります!
私は本筋とは関係ない、ある部分で背筋が凍りました。
・乱反射 貫井徳郎
大好きな作家さんです。
幼い子どもの命が奪われた痛ましい事故。
なぜ事故は起きてしまったのかを、様々な人物の日々の暮らしから紐解きます。
読み終わった時、私もきっと誰かを殺しているに違いないと思わされた。
一人一人の行動に多くの人が敏感になってる今、人によっては刺さりすぎてしまう内容かもしれないです。
・ ラバーソウル 井上夢人
同じ年に読んだ本の中でぶっちぎりの一位に輝いた作品。
ストーカー男性の偏愛とその日々。
容姿を差っ引いても見事なまでに気持ちが悪く、女性は殊更読んでいて恐怖を覚えると思います。
600ページを超えるボリュームで心が折れそうになるかもしれませんが、あるサイトに書き込まれていた「このページ数の多さは彼の愛の数」という感想の意味を、是非ご自身で確認してもらいたいです。
以上です。
今すぐじゃなくても、本を読む気分になった時の参考になれば幸いです。
細かいことを言うとまだまだ読んでほしい作品はあるので、こんな感じのやつない?みたいな、具体的な要望があればLINEでもリプライでもご連絡ください。
人が死なない話は基本管轄外です。
・dele 本多孝好
小説の真柴くん(菅田将暉)は猫を飼っている。
すぐに読め。
おわり
なんばグランド花月で夜遊びした話
実施率は謎ですが、日本には「プレミアムフライデー」というものが存在します。
月末の金曜日は15時に仕事を終えてなんたらかんたらってやつです。
関ジャニ∞に仕事くれてありがとうな、国。
このプレミアムフライデーに合わせて、様々なサービスも展開されています。
天下のよしもとクリエイティブエージェンシーさんも、このプレミアムフライデーに乗っかり、毎月あるイベントを開催しています。
それが、
なんばグランド花月プレミアムフライデーオールナイトライブです。
15時に仕事が終わるから、早い時間からなんかやるね!とかじゃないです。
23時開演、翌朝5時終演
もうプレミアムフライデーのシステム関係ない。
しかも、チケット代は前売2500円、当日3000円。
出演芸人もネタ中に言っておりましたが、30組を超える出演者、1組当たりのお値段は80円を切っています。
どういう会議をしたらこの企画案が出るのか、またこの企画案が通るのか、全く理解ができません。
18歳未満は参加できないイベントなんですよ。
もちろん学生さんもいるけどバイトできる年齢だし、もうちょっと取ってくれていい。
お金あるから。
ギャラどうなってんのか不安だよ。
私は1人で参加をしたのですが、ジャニヲタと違って芸人ヲタのみなさんはあまりレポ等を書かないっぽく、事前情報がほぼない状態で会場入りしました。
オールナイトという通常とは異なる時間帯、約6時間という長丁場。
行くかどうか迷っている人もきっといると思うので、暇な私が実際に参加して感じたことを書きます!
・ぼっち参加でも全く問題ない
関西や地元の友達を誘ったのですが、残念ながら都合が噛み合わず一度は参加を断念しました。
しかし「席に座って笑ってるだけなら1人でも問題なくない?」と思い直してNGKに向かったわけですが、実際なんの問題もなかったです。
私の両隣の方も一人での参加でした。
浮いたり不便を感じたり、孤独に襲われることもなくイベントを楽しめます。
・開演前の食事には困らない
会場であるなんばグランド花月(NGK)は商店街の中にあります。
22時すぎになんば着でしたが、まだまだ営業中のお店がたくさんあるので食事には困りません。
私は一度行ってみたかったお隣の金龍へ行きました!
酔ってないと美味くないラーメンとかなんとかくしゃくしゃな言われようで愛されているお店ですが、かなりの空腹だったのでだいぶ美味しくいただきました。
でも、言ってることはわかった。
・持ち込みOK、飲食自由
中に売店もありますが、コンビニで買ったお菓子や飲み物は持ち込むことができ、公演中もモリモリ食べて大丈夫です。
私は駅のパン屋さんで買ったあんぱんと、コンビニで買ったグミ、飲み物はお茶と水を持ち込みました。
座席にはドリンクホルダーがついているのですが、カフェの持ち帰りで見かけるタイプのカップやエナジードリンクを置いているお客さんもいたので、容器はペットボトルにこだわる必要もありません。
・年齢確認はきちんと実施
入場時、年齢確認は流し見ではなくきちんと実施されます。
列から外れるよう指示され、入場に時間がかかっている人も見かけたので、免許証等の身分証明書は忘れないようにしてください。
開演前はこんな感じです。
10分前くらいに入場しましたが、列もスムーズなのでまったり向かっても支障ありません。
前説もなかったので、その時間も加味しなくて大丈夫!
さて、23時を少し回って開演です。
内容は月によって違うかもしれませんが、今回はネタと事前に発表されていた企画を交互にやっていく形。
ネタブロック→企画ブロック→ネタブロックの繰り返し。
合間合間で司会進行役の芸人さん(持ち回り)が登場し、繋いでいくという感じでした。
時間も時間なのでゆるっとした空気になる瞬間は多々ありますが、生放送の長時間番組にありがちなダレた雰囲気は感じなかったです。
1ブロックごとに気持ちを切り替えて楽しめたので、退屈だと感じることはありませんでした。
・公演中は休憩有
公演中は3回ほど15分間の休憩があります。
トイレへ行くもよし、売店でなにか買うもよし、寝るもよしなのですが、一旦席を立ってロビーまで歩くとか、とにかく動いたほうがいいなぁと感じました。
時間の経過と共に体はガチガチになってきますし、長時間座りっぱなしはいくら楽しくてもしんどいです。
軽くストレッチをするなりしておけばよかった、と深夜3時くらいにだいぶ後悔しました。
・再入場可
私は実際に外に出たわけではないのですが、チケットの半券を見せるなどすることで出入りは自由にできるみたいです!
近くの席の女の子たちはコンビニで追加のお菓子を買って戻ってきていました。
これは先に書いた動いたほうがいい、の部分にも絡んでくるのですが、6時間はとにもかくにも長い。
5分10分諦めるブロックを見つけて、外に出てリフレッシュするという選択が賢いと私は思いました。
最後まで楽しみきる最善策のような気がする。
・みんなしんどい!
芸人さんに失礼なのでは…と心配になる方もいらっしゃるかと思いいますが、芸人さんはみなさんわかっています。
「こっちもしんどい、お客さんもしんどい。わかるよ!」という雰囲気で全体が進行します。
人間眠気には勝てませんし、途中で出入りすることも当たり前という共通認識があるので、自分自身と相談して自由に過ごしてください。
ネタ中の出入りは他のお客さんの視界を妨げてしまうことにもなるので、タイミングだけ注意です!
基本的には休憩の時間を中心に動きましょう!
・マスクは必須
今の時期は乾燥もします。
しかしそれ以上に、マヌケな寝顔を晒してしまわないために必要不可欠であると私は強く感じました。
・腰と尻が死ぬ
死にます。眠気よりしんどかった。
時間と共にみなさん椅子の上でお山座り等、普段の公演であればマナーが悪いと指摘されそうな姿勢になっていくのですが、オールナイト公演に限ってはそんなことを言っている場合ではありません。
NGKの椅子は優しい素材ですが、6時間の壁はあまりに大きく屈強です。
次回は小さいクッションや、椅子と自分の間に挟めるなにかを持参しようと心に誓いました。
飲食物はいくらでも買い足せるので、座席環境の充実のほうが事前準備段階では重要です。
私はあまりにも無防備すぎた…。
公演は無理なく楽しむ!
楽しみ方はお客さん次第でいいですよ、という自由度の高い環境を整えてもらっているので、そこに最大限甘えましょう!
私も次回はもっと甘えます!!
そして終演後ですが、私は朝6時発のアーバンライナーで名古屋戻りの予定。
終演は5時なので1時間の空きがあったのですが、少し歩けば24時間営業のファミレスもあり、なんなら24時間営業の焼き肉屋も近所にあったので、開演前に同じく居場所や食事に困るということはありませんでした。
また、商店街は灯りも多いので、女一人でまだ暗い難波の街に解き放たれても心細さはなかったです。
朝食を食べてアーバンライナーに乗って、気絶してたらすぐ名古屋でした。
色々と書きましたが、結論としては楽しかった!また絶対行く!です。
まさか久しぶりのオールがNGKになるとは夢にも思ってなかった。
興味はあるけど…と二の足を踏んでいた誰かが、自分も行ってみよう!と思ってくれていたら嬉しい。
余談ですが、かくし芸大会の企画コーナーで暗転し、再び照明が点いた際、見取り図の二人が南大阪のカスカップルのいでたちでステージに現れた瞬間の爆裂な盛り上がりは凄まじかったです。
おわり
芸人ヲタク一年生
2018年、私は芸人の沼デビューをしました。
きっかけはミキという兄弟コンビ。
今や世界で一番可愛い兄弟大賞においてぶっちぎりの金賞。愛おしさしかない。
昨年のアメトークへの出演を機に気になり始め、同年のM-1を観ていた時にふと「現場で漫才が観たい」と思い、その瞬間の勢いそのままにチケットを購入。
ヲタク気質の人間は自分稟議書を通すスピードがとにかく早い。爆速。
幼い頃、地元の会館で新喜劇を観たり、修学旅行でルミネに行ったり、友達に誘われて出張お笑いライブ的なものに行ったことはあったにせよ、自らの意思で観たいと思って行動に移したのはこれが初めて。
結果、人生の幸福度は増しまくっているので、ミキには感謝しかないです。
実際に現場で漫才を観て「また来たい!」となった私は、ひとまず以下のことから始めてみることにしました。
①ミキは大阪なんばにある漫才劇場というところに所属しているので、そこに通ってみる
②ミキが出演している公演に行きながら、他に好きな芸人さんを見つけてみる
③とりあえず月一回は劇場、もしくはなにかしらのお笑いの現場に行ってみる
この三点。
まず①、大阪のなんばには漫才劇場という若手の芸人さんが毎日公演を行っている、非常にありがたい場所が存在しています。
劇場所属のうんぬんかんぬんについては割愛しますが、ひとまずここのスケジュールをチェックしていればミキの漫才が楽しめます。
続いて②ですが、漫才劇場での通常公演は基本バンドで言うところの対バン形式です。
二組、三組なんていうレベルではく一回の公演で何組ものネタを一気に観ることができます。
好きなものは多いに越したことはない精神の無節操ヲタクなので、ミキを軸に周辺の芸人さんから好みの人達を探すことにしました。
最後の③は、長年なにかにハマり続ける暮らしをしていると「これは帰ってこられるコンテンツか否か」が判断できるようになってくると思うんですよ。
っていうかなる。本能が何からを感知する。
初めて現場に行った際に、恐らく帰ってこられない気がしたので、確実に楽しみ方が変わるであろうM-1への対策として決めました。
こういう書き方をすると大袈裟ですが、どこか限られたシーンだけでも把握しておけば、より大会が楽しめるだろうなと思ったので。
こんな感じのスタンスで、芸人ヲタク一年生をスタートさせた私。
実際に一年を過ごして感じたことをまとめました!
【自分の好みがわかった】
これはなににおいてもそうですが、色々なネタを観ることで食べ物や洋服の好みのように、こういう系統のお笑いが好き、ということがハッキリしてきます。
私は正統派のしゃべくり漫才が好み。
ちなみに「俺○○やるから、お前○○やって」みたいなものはコント漫才と呼ばれます。
あと、職人芸みたいなものに死ぬほど弱い。
プリマ旦那がちょいちょいやってくる「ありがとうございました」と同時にベルが鳴る、驚異の時間ピッタリ芸とかすごい興奮する。
客席がちょっと引いてた。
KKPのgood day houseの3階と同じくらい引いてた。
コントよりは断然漫才が好きですが、好きなコント師だってもちろんいるし、来月はコントだけの企画にも行くので、じゃがりこはサラダがダントツ好きだけど、チーズもじゃがバタもめちゃくちゃ美味しい、みたいなお話です。
【面白くない芸人などいない】
笑いは結局個人個人のツボです。
そのツボにハマる人数が多いか少ないかだけの話なので、極論面白くない芸人などこの世には存在しないんだろうな、と考えるようになった。
劇場で大人気の芸人さんであっても、自分のツボでなければ全く面白いと感じないし、逆に周りが退屈していても、自分のツボであれば死ぬほど笑える。
「あの芸人つまらないよね」とそれに準ずる言葉は、現場に足を運んだことによって私の辞書から姿を消しました。平和。
【M-1はM-1】
テレビで観る程度にしかお笑いに触れていないと、全芸人はM-1で優勝することを目標としている、くらいのことを考えがちだと思うのですが、実際は全くそんなことはなかったです。
エントリー理由は様々だし、大会に対する意識も様々。
ゆにばーすの川瀬名人のように「M-1で優勝したら芸人をやめる」と言い切る人もいれば、お祭りだから参加している、今あるネタでどこまで行けるか試したい、勝ち進むことで知名度が上がればいい、という人もいるし、相方が出たいって言ってるから付き合ってるだけ、なんて人もいます。
ミキの二人も、今年はそれほど優勝にはこだわっておらず、自分達のテレビ出演をきっかけに劇場に来てくれる人が増えたらいい、という日々の活動スタンスの延長から継続してエントリーをしたみたいです。
私は出待ちも接触イベントも興味がないけれど、この石毛輝的思想を持っていることを知ってからは、きっかけを見つけて「ミキの漫才をテレビで観て劇場に行くようになりました」ということだけは本人に伝えたいなと思っています。
また、M-1は漫才ではあれど漫才とは別物だということを知りました。
多くの芸人さんがM-1を「競技」と表現するのですが、本当にそうだなと。
陸上に短距離・長距離、砲丸投げ・槍投げ、と似て非なる種目があるように、漫才とM-1もまた似て非なるもの。
勝ち上がってくる芸人さんは間違いなく力のある人ではあるけれど、長距離走者が短距離で、槍投げ選手が砲丸投げで表彰台に立てるかというと必ずしもそうではないはずです。
芸人さんにもそれぞれ得意種目があるので、M-1だけを基準に量るのはとんでもなくもったいない!
【テレビに出ている芸人さんは一握り】
大型フェスに出ていなくたって、Zeppツアーをやっていなくたって、良いバンドは山ほどいるんですよ。みんな知ってると思うけど。
それと同じで、テレビに出ていなくても面白い芸人さんは数えきれないくらいいます。
かつて一発ギャグ等で一世を風靡し、世間的には消えたと思われている芸人さんも、劇場ではしっかりと漫才やコントをやっていて、そっちが本当の姿だったりするし、それがまぁ面白い面白い。
あとよく「劇場ではテレビでできないネタをやっている」なんて言葉も耳にしますが、あれは別に過激な内容だけでなく時間的なこともかなり大きく関わっていて、好きなバンドがテレビに出て好きな曲をやったけど、最高のCメロがカット!なんでじゃい!みたいな経験、みなさんありますよね。
テレビで観た、あなたが面白いと思っているそのネタ、フルサイズじゃないですよ!
長尺の漫才が持ち味である芸人さんは、なかなかテレビでその本来の面白さを堪能することができません。
私はなんにも知らなかったんだな、と通いながら痛感しました。
【吉本は初心者に優しい】
行ってみよう!から実際に行くまでの流れがどちゃくそにスムーズ。田舎の人間が初めて動く歩道と邂逅した時くらいの感覚。
チケットよしもとという専用のチケットサイトからは芸人の名前はもちろん、開催地や劇場からも公演検索が可能。
吉本に特化してるおかげで、他の情報も引っかかってきちゃって検索結果からさらに探すのが大変…なんてこともなし。
発券もファミマのファミポートに専用のボタンがあるから迷わない。
新しい現場に行く際に発生しがちな「チケットってどうすればいいの?」問題を気にしなくていいのは、近くに有識者がいないド新規にとって最上級にありがたいことです。
課金することでプレミアム会員になることもでき、優先的にチケットの申し込みもできるようになります。
私はもちろん、余裕の年間契約プランです。金で殴れ。
さらにラフピーというアプリを入れて連携することでポイントも貯まる!
この一年でなんだかんだと1000ptちょっと貯まりました。
【専用劇場は強い】
AKBグループでもよく聞く専用劇場ですが、これを持っているコンテンツの強さを改めて実感しました。
専用なんですよ、専用。
だから365日、事務所関連の公演をずーっと入れ続けることができるんですよ。
バンドにしろジャニーズにしろ、地元やその近郊に来てくれるのを待ったり、その一日のために全力でスケジュール調整をしたり、現場に行くまでにみなさんかなり努力をされているはず。
しかし、専用劇場を持つと半端ない数の公演数を打つことができるので、そこまで行かなければならないにしろ、自分の都合のいい日に入ればOKくらいの気軽さで予定を立てることができるようになるんです。
午後から予定が入ってしまった!となれば午前中の公演に入ればいいし、その日はまるっと予定が!となったら別日を取ればいい。
選択の余地がありまくるのは私のような掛け持ちにとって大きなメリットです。
お笑いとは別の用事で大阪へ行く際は、必ずと言っていいほど劇場の予定を入れています。
公演数が多いことでお客さんが分散し、前日でも簡単にチケットを手に入れることができる、というのもバカデカメリット!
【基本時間厳守】
他の事務所のライブはわからないのですが、吉本の公演は基本時間ピッタリに開演をし、予定されている時間内でキッチリ終演します。
これは先の半端ない公演数にも絡んでくるのですが、一日で何回も公演を行うため、とっとと客出しをして次の準備をしないと間に合わないんですよね。
しかしこれが遠征民にはありがたい!
帰りの電車やホテルのチェックイン時間の目途が立つって助かりませんか?
それこそハシゴをする場合にも大助かりです。
些細なことかもしれないけれど、この一年たいぶ命拾いをしました。
でもバンドはこれからも開演は10分くらい押してほしい。もうそこの生活スタイル変えられない。
【お客さんに対してなにかと手厚い】
芸人のヲタク、引くくらいお金がかかりません。
日頃の芸人さんのトークから吉本はヒドい会社だ、というイメージが強いかと思いますが、お客さんに対してはかなり手厚いなと感じました。
そもそもお笑いの世界ではチケット代が1500円~3000円くらいで、グッズも単独公演を打たないかぎりそうそう出ません。
DVDが頻繁にリリースされるわけでもないし、一発で出ていく額が少ないっていうのは趣味を継続していく上でも助かるんじゃないでしょうか。
ただ、私のように「推しの給与明細の額面を上げることに喜びを感じるタイプのヲタク」にとっては正直物足りないです。
出待ちして差し入れ、とかほんとどうでもいい。
そういうもんをテメェの金で好きなだけ買えるようになってほしいんだよこっちは!!
私の金で4パチMAX!!万発出して酒を飲め!!!!
手厚い、というのはもちろんお金の面だけでなく、無料で荷物を預かってもらえたり、場内のロッカーが300円でこのデカさ!?みたいなのだったり、ちょっとした困りごとにも個々に対応してもらえたり、お子様用のイスが用意されている、ありとあらゆる割引やキャンペーンを行っている等々。
こういうのあればいいのにな、というサービスはほぼ存在しています。
お客さん、こういうのあったら嬉しいよね!みたいなことをガンガン打ち出してすぐ形にできるって、企業としてすごくないですか?
この点に関しては、芸人側のやりたい!もポンポン形にしてくれている印象で、芸人さんがポツリと呟いた企画が翌月には正式に形になって「とりあえずやってみます!」とゴーされていたり、平日には芸人の趣味にかなり偏った正直集客とか考えてねぇだろみたいな企画が開催されています。
年2回しか活動してないチーム今別府JAPANのファン感謝祭とかだいぶ行きたい。
ファンでもギリ楽しめるかどうかみたいな企画を平然とやってくるの最高。
比較的運営が恐ろしめな畑も耕しているので、運営と所属芸人とお客さんとのトライアングルが大きすぎず、ちょっとホッとできるいい国だなと思っています。
こんなところでしょうか。
通い続けた漫才劇場によりスポットを当てればもっと書きたいことは沢山あるのですが、それは「劇場行ってみようかな」とか「劇場楽しかったからもうちょと知りたい」という方に向けてのお話になる気がしているのでまたの機会に。
シャッフルネタのくじ引き段階で笑えるようになる、とか新しい幸せがそこにはある。
私が最も愛しているしゃべくり漫才は、たぶん現代のテレビに向いていません。
自分自身もだけれど、今のテレビってなにかをしながら観る、っていうことがほとんどじゃないですか。
リアタイしてツイッターで呟きながらドラマ観るの楽しいし、それきっかけで盛り上がってる番組もいっぱいあるし。
そうなってくると、ちゃんとやりとりを聴いていないといけない漫才よりも、見た目にインパクトのあるキャラモノやすぐ耳に届くリズム系のネタ、一発ギャグの方が視聴者の興味を引き付けやすいと思うんです。
別にそういうものを見下しているわけではなくて、やっぱり事件は現場で起こっているんだなと再認識した一年だったということです。
会議室で全部わかったような顔してたらダメだなぁ、と。
何気なく踏み出した一歩で素晴らしく愛せるものが一つ増えたの、どう考えてもハッピーの満漢全席。
とにもかくにも、芸人、とりわけ吉本の沼は門戸が広いどころかガバガバです。
ファン同士もいい感じに殺伐としてて、距離感あるのでそこが楽。
マジに月一回のペースで劇場行ってるので、行ってみたいなぁという人は遠慮なく声をかけてください。
私はもうどの公演に入っても幸せになれる程度には飼いならされているので、あなたのお好みに合いそうな芸人さんが出演している回に一緒に行きましょう。
〇〇さんの顔が好きだから生で拝んでみたい!でも全然問題なしお!
私にも顔だけ一等賞の芸人いるから!!
一年相当楽しかったなぁ。
顔を洗う、歯を磨く、ライブハウスへ行く、と生活の一部になっているバンドと別世界高精細フルCGが織りなす夢のワンダーランドであるジャニーズ。
そして、向いの工業高校こと芸人。
趣味の掛け持ちっていいね。
おしまい